朝日と研究のイメージ

アルツハイマーの「炎症スイッチ」が見つかった? 〜脳の火を消す研究の最前線〜

「認知症の薬や治療は、これからどうなっていくの?」 ご家族のことを思って、そんなふうに気になっている方も多いと思います。 今回は、アルツハイマー病の研究の最前線から、ひとつ明るいニュースが届きました。 アルツハイマー病の脳で「炎症を止まらなくするスイッチ」になっているタンパク質が見つかった ただし、これは まだ研究の段階 の話です。期待しすぎず、でも前向きに――そんな気持ちで読んでいただければと思います。 ✅ アルツハイマー病の脳では「STING(スティング)」というタンパク質が、炎症をいつまでも続けさせるスイッチ になっていた ✅ マウスの実験で、このスイッチが入るのを防いだところ、脳の炎症がやわらいだ ✅ ただし 動物実験の段階 で、すぐに使える薬ではない。「新しい治療の的(まと)が見つかった」というニュースです 目次 そもそも「脳の炎症」って? 見つかった「炎症スイッチ」の話 いま私たちにできること おわりに そもそも「脳の炎症」って? 私たちの体には、ばい菌やケガから身を守る「免疫(めんえき)」のしくみがあります。脳にも、同じように見張り役の細胞がいて、異常があると 炎症 を起こして対応します。 ところが、この炎症が 必要もないのにずっと続いてしまう と、今度は脳そのものを傷つけてしまいます。アルツハイマー病では、この「消えない炎症」が、神経のつながりを弱らせる一因と考えられてきました。 見つかった「炎症スイッチ」の話 アメリカのスクリプス研究所のチームが、この「消えない炎症」の犯人をつきとめました。 カギになっていたのは、免疫の見張り役として働く「STING(スティング)」というタンパク質です。アルツハイマー病の脳では、このSTINGが 化学的に変化 してしまい、炎症のスイッチが入りっぱなしになっていたのです。 そこで研究チームが、マウスの実験で この変化が起きないように したところ――脳の炎症がやわらいだことが確認されました。研究を率いた神経内科医のスチュアート・リプトン博士は、これを「アルツハイマー病の新しい、重要な治療の的(まと)になる」と話しています。 ※ この研究は2026年、医学誌『Cell Chemical Biology』に発表されたものです。マウスでの段階 であり、人に使える薬ができたわけではありません。 いま私たちにできること 「新しい薬を待つ」だけでなく、今日からできること もあります。脳の余計な炎症を抑えるには、こんな生活習慣が役立つと考えられています。 ✅ 適度な運動 を続ける(歩く・体操など) ✅ しっかり眠る(睡眠中に脳の掃除が進みます) ✅ 野菜・魚を中心としたバランスのよい食事 ✅ 歯みがき・歯科受診など 口の中を清潔に保つ(歯周病の炎症も関係するといわれます) 特別なことではなく、いつもの暮らしの延長です。 運動と脳の関係は、こちらの記事もどうぞ。 👉 認知症を遠ざける運動のヒント おわりに 炎症という「脳の中の火」を、どこで消せばいいのか――その スイッチの場所 が見えてきた。これは、これからの認知症研究にとって大きな一歩です。 すぐに治療が変わるわけではありませんが、世界中の研究者が一歩ずつ前に進んでいます。私たちは過度に不安にならず、今できる生活習慣を大切にしながら、こうした明るいニュースを待ちたいですね。 📚 あわせて読みたい一冊 PR アルツハイマー病 真実と終焉 アルツハイマー病を「炎症・栄養・毒素」など複数の原因から見直す、世界的に話題になった一冊(白澤卓二先生監修)。今回の炎症の話とも通じる、生活習慣からのアプローチがやさしく整理されています。 Amazonで見る 楽天で見る 参考にした情報 スクリプス研究所(米国)の研究/責任著者:スチュアート・リプトン博士 医学誌『Cell Chemical Biology』2026年発表の論文(STINGタンパク質と脳の炎症) ※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。紹介した内容は研究段階のものであり、治療効果を保証するものではありません。治療やお薬については、必ず主治医・かかりつけ医にご相談ください。

June 1, 2026 · 1 分
縁側でくつろぐおだやかな老夫婦のイラスト

健康にかけるお金は年15.7万円。それでも「何を信じたらいい?」 〜あふれる健康情報との、かしこいつき合い方〜

「テレビで良いと言っていたから」「ネットで評判だったから」——。 そう思って買った健康食品やサプリが、いつの間にか戸棚にたまっていませんか? じつは今、健康にお金をかけている人ほど、「何を信じたらいいか分からない」と感じている という調査結果が出ています。今回は、その最新データを見ながら、あふれる健康情報とのかしこいつき合い方を、ご一緒に考えてみたいと思います。 ✅ 1年間に健康にかけるお金は、平均で 約15.7万円(前の年より約1.8万円アップ) ✅ 「健康の正しい情報が分からない、何を信じたらいいか分からない」と感じる人は 24.0%(3年で5.1ポイント増加) ✅ 情報にふり回されないコツは、「誰が・何人に・いつ調べたか」 を確かめること 目次 健康にかけるお金は、年15.7万円まで増えている お金をかけるほど、「迷い」も増えている 情報にふり回されないための、3つのものさし 理学療法士として、現場で感じること いま、私たちにできること おわりに 健康にかけるお金は、年15.7万円まで増えている あなた みんな、健康のためにどれくらいお金を使っているんでしょう? Torapon 最近の調査だと、1年で平均15.7万円 なんですよ。しかも、年々増えているんです。 ハルメクグループの生きかた上手研究所が、2025年に 50〜79歳の女性467人 に行った「健康に関する意識・実態調査2025」によると—— 1年間に健康にかけているお金は、平均で 約15.7万円 前の年より 約1.8万円 増えていました 内訳を見ると、「運動サービス」「マッサージ・整体」「医薬品・医療品」への出費が、それぞれ増えています。「認知症になりにくい生活を送りたい」「入院や介護のいらない体でいたい」といった 予防への意識 も、この3年で高まっているそうです。 体を大切に思う気持ちが、こうしてお金の使い方にも表れているのですね。 お金をかけるほど、「迷い」も増えている ところが、ここで少し気になる数字があります。 同じ調査で、「健康に関する正しい情報が分からない、何を信じたらよいのか分からない」 と答えた人が、こんなふうに増えているのです。 年 「何を信じたらいいか分からない」と感じる人 2023年 18.9% 2025年 24.0% 3年で 5.1ポイント も増えています。いまや、4人に1人 が情報に迷っている計算です。 あなた たしかに……。テレビ、ネット、ご近所の話。どれもそれらしく聞こえて、かえって分からなくなります。 Torapon そうなんです。情報が多すぎると、選ぶのがかえって難しくなる。だからこそ、情報を見分けるちょっとしたコツが役に立つんですよ。 健康を大切に思う気持ちが強いからこそ、たくさんの情報を集める。でも集めるほど、どれが本当か分からなくなる——。そんな“情報の渋滞”が、いま多くの方に起きているのかもしれません。 情報にふり回されないための、3つのものさし 医療の現場でも、私たちは新しい情報の「たしからしさ」を、いくつかの目印で見分けています。むずかしい知識はいりません。次の 3つのものさし を持つだけで、ぐっと惑わされにくくなります。 ものさし① 「誰が言っているか」を見る まず、その情報の 発信元 を確かめます。国や学会、大学、公的な研究機関などが出している情報は、比較的たしかです。反対に、その商品を売っている会社だけ が「効きます」と言っている場合は、少し立ち止まって考えたいところです。 ...

July 22, 2026 · 1 分