地中海食と日本食が並ぶ食卓のイラスト

地中海食と日本食、合わせるとどうなる? 〜認知症予防の食卓に並べたい3つの食材習慣〜

「毎日同じおかずばかりで、なんだか脳によくない気がする」 「地中海食がいいって聞くけれど、急にオリーブオイル中心の食卓には変えられない」―― そんなふうに、自分の食卓と"理想の食事"のあいだで迷っていることはありませんか? 実は近年、地中海食と日本食、どちらも認知症予防によいことが分かってきました。 そして国立長寿医療研究センターの研究では、日本食をよく食べている人ほど認知症になりにくく、腸内環境にも違いが出ることが明らかになっています。 「地中海風」か「和食」かで悩む必要はありません。いいとこ取りで、今日からの食卓を少しずつ整えていくのが現実的な答えです。 ✅ **「単品サプリ」より「食事全体のパターン」**が認知症予防のカギ ✅ 地中海食と日本食はどちらも理にかなっている――両方のいいとこ取りでOK ✅ 注目したい4つの食材:魚介・きのこ・大豆・コーヒー(日本食スコア研究より) 今日は、地中海食と日本食をどう"合体"させるか――そして私の食卓によく並ぶ3つのメニューを、やさしくご紹介します。 目次 そもそも「脳によい食事」って? 地中海食のここがいい 日本食スコアという発見 地中海食×日本食という選択肢 私の食卓によく並ぶ3つの一皿 いま私たちにできること おすすめの一冊 そもそも「脳によい食事」って? 国立長寿医療研究センターは、認知症予防の食事についてはっきりこう言っています。 単一の栄養素(サプリメント等)を摂取しても、認知症予防には効果がありません。 つまり、「これさえ飲めば」という魔法のサプリは無く、実際の食品から、いろいろな栄養をパターンで摂ることが大事だ、ということです。 そのうえで、これまでの研究で繰り返し名前が挙がるのが、地中海食と日本食の二つの食事パターンです。 地中海食のここがいい 地中海食とは、イタリア南部やギリシャ沿岸で昔から食べられてきた食事のことです。 特徴をひと言でまとめると―― 色とりどりの野菜・果物(赤・黄・緑) 魚介類が豊富 オリーブ油を使う 全粒の穀類と食物繊維 ポリフェノールたっぷりの赤ワインを少々 国立長寿医療研究センターも「認知症予防効果が期待できます」と紹介しており、糖尿病の予防にもよいとされています。 ただ、毎日オリーブ油でパスタを食べる暮らしには無理がある――それが日本に住む多くの人の本音だと思います。 日本食スコアという発見 ここで嬉しいニュースがあります。 国立長寿医療研究センターの 佐治直樹副センター長 たちのチームは、日本食をよく食べている人ほど認知症になりにくいことを、実際の患者さんを調べて確かめました(Nutrition誌、2021年)。 研究チームが使った「日本食スコア」は、こんな食品を組み合わせて点数化したものです。 JDI9(基本の9品目) 米・味噌・魚介類・緑黄色野菜・海藻類・漬物・緑茶・牛肉/豚肉・コーヒー JDI12(拡張版) ↑に加えて、大豆・大豆製品/果物/きのこ 点数のつけ方 それぞれの食品について、ふだんよく食べている人は「1点」/あまり食べていない人は「0点」 ただし、牛肉・豚肉は逆(伝統的な和食では魚を主役にするので、たくさん食べていると0点になります) これを9品目すべて足すと、最大9点・最小0点(拡張版なら最大12点) **点数が高いほど"日本食らしい食事"**ということになります つまり「7点」というのは、9品目のうち7つは日常的によく食べているくらいの感覚です。 結果はとても分かりやすいものでした。 認知症のない人 vs 認知症のある人:JDI9 スコア 7点 vs 5点 同じく JDI12 スコア 8点 vs 7点 特に 魚介類・きのこ・大豆・コーヒー をよく食べている人で差が大きかった これらの食品が多い人は、腸内環境がよく整っており、認知症のリスクと結びつくと言われる物質も少ない 傾向(腸内細菌が出す"体に負担をかける成分"のこと) つまり、お味噌汁・焼き魚・きのこ・豆腐・コーヒーといった、ふだんの和食の延長線上にあるものが、ちゃんと脳の健康と結びついていた、ということです。 ...

May 21, 2026 · 1 分
朝の食卓で、ぬか漬けや野菜のおかず、ごはんとみそ汁を前に、年配の夫婦がくつろいでいるイラスト

おなかの中と『脳の年齢』は、つながっている? 〜腸内細菌と脳の老け具合の研究から〜

「腸は第二の脳」。そんな言葉を、テレビや雑誌で見かけたことがあるかもしれません。 2026年9月、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などのチームが、腸内細菌(おなかの中にすむ細菌)や便に含まれる物質が、脳の「老け具合」と関係していたという研究を発表しました。 ただ、中身をよく読むと、「この菌を増やせば脳が若返る」という話ではありません。どこまで分かって、どこから先が分からないのか。一緒に見ていきましょう。 ✅ 約1,500人の脳をMRIで調べると、実際の年齢より脳が老けて見える人は、記憶や段取りの力がやや低く、気分も落ち込みぎみでした ✅ 便を調べた182人では、いくつかの腸内細菌や便の中の物質が、脳の老け具合と関係していました。ただし、その関係はごく小さなものでした ✅ ある1回の時点で調べた研究で、腸が先か脳が先かは分かりません。参加者の多くは30歳前後で、食事も調べていません 目次 「脳の年齢」って、どうやって測るの? 脳が老けて見える人は、記憶や気分も おなかの中を調べてみると 「良い菌・悪い菌」とは言えない理由 いま、私たちにできること おわりに 参考にした情報 「脳の年齢」って、どうやって測るの? 研究チームは、脳がぼんやり休んでいるときの様子を、MRI(磁気で体の中を写す検査)で撮影しました。 休んでいるときでも、脳のあちこちの部分は、互いに連絡を取り合っています。その「つながり方」は、年齢とともに少しずつ変わっていきます。 そこで、たくさんの人のデータをコンピューターに学ばせて、つながり方から「この脳は何歳くらいに見えるか」を当てるしくみを作りました。 脳から見た年齢が、実際の年齢より上 → 脳が「老けて見える」 脳から見た年齢が、実際の年齢より下 → 脳が「若く見える」 この差を、研究では「脳の老け具合」の目安にしています。 あなた 脳のシワや縮み具合を見るのとは、ちがうんですね。 Torapon そうなんです。今回は形ではなく、脳の部分どうしの「連絡のとり方」を見ています。ですから、ここでいう「老けて見える」は、病気があるという意味ではありません。あくまで、たくさんの人とくらべたときの「個人差」です。 脳が老けて見える人は、記憶や気分も 研究に参加したのは、病気のない18〜65歳の約1,500人(1,462人)です。年齢の真ん中は30歳前後で、若い人や働き盛りの人が中心でした(学術誌『eBioMedicine』2026年10月号、オンライン公開は9月)。 使われたデータは、アメリカのほか、日本の研究で集められた690人分も含まれています。 3つのグループ(674人・444人・344人)に分けて、同じ結果がくり返し出るかを確かめています。 結果は、次のとおりでした。 脳が老けて見える人ほど、少しのあいだ覚えておく力(ワーキングメモリ)や、段取りよく物事を進める力のテストの点が、やや低め 脳が老けて見える人ほど、気分の落ち込みの点数が、やや高め この傾向は、3つのグループで、くり返し見られた ただし、論文自身も「関係の強さは控えめ」と書いています。脳の老け具合は、記憶や気分を左右するたくさんある要因の1つ、と考えるのがよさそうです。 おなかの中を調べてみると ここからが、腸の話です。 3つめのグループ(ロサンゼルスの344人)のうち、脳の検査と便の検査がそろった182人について、便の中の細菌の種類と物質をくわしく調べました。 その結果、次のようなものが、脳の老け具合と関係していました。 便の中で見つかったもの 脳が老けて見える人で クロストリジウム、コリンセラなど、いくつかの細菌 多い傾向 セラミド(脂の一種で、体の炎症にも関わる物質) 多い傾向 24-ヒドロキシコレステロール(コレステロールが形を変えたもの) 多い傾向 エステトロール(女性ホルモンの仲間) 少ない傾向 では、なぜ便の中の菌や物質が、脳の老け具合と関係するのでしょうか。 研究チームは、これらの菌や物質が、体の中の炎症や血管の働き、脳の神経どうしのつながり、細胞がエネルギーを作るしくみなどを通して、脳に影響しているのではないか、と考えています。ただし、これはまだ「そうかもしれない」という段階の考えです。 ただ、気をつけたい点が2つあります。 関係の大きさは、ごく小さい……脳の老け具合は、同じ年齢でも人によって差があります。その差のうち、腸の様子で説明がついたのは、計算上わずか2%ほどでした。残りの大部分は、腸とは別の理由によるものです 調べた人にかたよりがある……182人を含むこのグループは、9割ほどが女性(344人中312人)でした。研究チームも「男女半々の、もっと大きな集団で確かめる必要がある」と書いています あなた たった2%なんですか。もっと大きな話かと思いました。 Torapon 報道の見出しだけだと、そう感じますよね。でも、腸と脳を同じ人で同時に調べた研究は、まだ少ないんです。「関係の手がかりが見えてきた」という、入り口の研究として受け取るのがちょうどいいと思います。 「良い菌・悪い菌」とは言えない理由 「脳が老けて見える人に多かった菌」と聞くと、つい「悪い菌だ」と思いたくなります。でも、そう決めつけるのは早すぎます。 ① どちらが先か、分からない この研究は、ある1回の時点で、脳と便を調べたものです。時間を追って変化を見たわけではありません。 腸の状態が、脳に影響したのか 脳やストレスの状態が、腸に影響したのか 食事や睡眠など、別の何かが両方に影響したのか このどれなのかは、分かりません。論文でも「原因や順番は言えない」と、はっきり書かれています。 ...

October 21, 2026 · 1 分