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ビタミンB12、「基準値内」でも足りていないかも? 〜年を重ねた脳と、栄養の意外な関係〜

健康診断で「ビタミンの数値は正常ですよ」と言われると、ひと安心しますよね。 でも、こんな研究をご存じでしょうか。 「血液検査では『基準値内』でも、ビタミンB12がやや低めの高齢者は、考えるスピードが少しゆっくりになっていた」 “足りている”はずなのに、脳には影響が出ているかもしれない――。今回は、そんな少し意外な研究を、やさしくお伝えします。 ✅ B12が「基準値内でも低め」の高齢者は、考えるスピード(処理速度)がゆっくりめ で、脳の白質に小さな変化がみられた ✅ ただし「サプリをたくさん飲めば脳が良くなる」わけではない。上乗せ効果は ごくわずか という報告も ✅ まずは 食事から。気になる方は自己判断せず、血液検査でかかりつけ医に相談 を 目次 そもそもビタミンB12って? 「基準値内なのに足りない」研究の話 サプリに飛びつく前に 食事でとるには おわりに そもそもビタミンB12って? ビタミンB12は、神経や血液を元気に保つ ために欠かせない栄養素です。魚や貝、肉、卵、乳製品などに多く含まれています。 やっかいなのは、年を重ねると吸収する力が落ちやすい こと。さらに、胃の調子や一部のお薬の影響でも、吸収が下がることがあります。つまり「ちゃんと食べているつもり」でも、体の中では足りにくくなっている――そんなことが起こりうるのです。 「基準値内なのに足りない」研究の話 アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームが、認知症のない 健康な高齢者231人(平均71歳)を調べました。 すると―― B12が 「基準値内でも低め」 の人は、考えるスピード(処理速度)がゆっくりめ だった さらに、脳の 白質(はくしつ=神経の通り道)に、小さな傷のような変化が多くみられた この研究は2025年に医学誌『Annals of Neurology』に発表され、「いまの基準値は、脳にとっては少し甘いのかもしれない」という議論を呼びました。 サプリに飛びつく前に ここで、とても大事な注意点があります。 「じゃあB12のサプリをたくさん飲めばいいんだ!」――そう考えたくなりますが、話はそう単純ではありません。 別の研究では、Bビタミンのサプリで頭の働きが良くなる効果は ごくわずか にとどまった、と報告されています。足りない人が補うことには意味があっても、「たくさん飲むほど脳に効く」わけではない のです。 サプリは飲み合わせや持病との相性もあります。自己判断で大量にとるのは避け、まずは血液検査でご自分の状態を知ること から始めましょう。 ※ サプリメントや栄養の取り方については、必ずかかりつけ医にご相談ください。 食事でとるには いちばんの基本は、やっぱり毎日の食事です。B12は、こんな食材に多く含まれています。 ✅ あさり・しじみ・牡蠣 などの貝類 ✅ さんま・さば・いわし などの魚 ✅ レバー、卵、牛乳・チーズ、のり 特別なものではなく、和食の食卓に自然と並ぶもの ばかりですね。「最近、魚や貝を食べていないな」と思ったら、週に何回かは意識して取り入れてみてください。 食事と脳の関係は、こちらの記事もどうぞ。 👉 認知症を遠ざける食事のヒント おわりに 「基準値内だから大丈夫」と思っていた栄養が、実は脳にとっては少し足りていないかもしれない――。今回の研究は、そんな気づきを与えてくれました。 とはいえ、神経質になりすぎる必要はありません。魚や貝、卵を、いつもの食卓に少し増やす。 そして気になるときは、ひとりで悩まず、かかりつけの先生に相談する。その小さな積み重ねが、これからの脳を守ってくれます。 ...

May 31, 2026 · 1 分
栄養バランスのよい和食の食卓のイラスト

その「疲れ」「やる気の出なさ」、栄養不足のサインかも? 〜ビタミンB12・葉酸と疲労の意外な関係〜

「しっかり寝ているのに、なんだか疲れがとれない」 「以前ほど、やる気がわいてこない」―― そんなふうに感じることはありませんか? 年のせいかな、と思いがちですが、実は 毎日の食事(栄養) が関係しているかもしれません。今回は、日本の研究から届いた、こんなお話です。 ビタミンB12と葉酸(ようさん)が足りない人ほど、「疲れ」や「やる気の低下」が大きかった ✅ 健康な日本人 約600人 を調べたところ、B12・葉酸が不足ぎみの人ほど、疲れやすく・やる気が出にくい 傾向があった ✅ カギになったのは「ホモシステイン」という血液中の物質。B12・葉酸が足りないと、これが増える ✅ ただし「サプリを飲めば元気になる」と決まったわけではない。まずは 食事の見直し から 目次 B12・葉酸ってどんな栄養? 「疲れ」と栄養をつないだ日本の研究 食事でとるには おわりに B12・葉酸ってどんな栄養? ビタミンB12 と 葉酸 は、どちらも血液や神経を元気に保つために欠かせない栄養素です。2つは チームのように協力して 働いています。 困ったことに、年を重ねると 吸収する力が落ちやすい うえ、葉酸は野菜不足などで足りなくなりがちです。「ちゃんと食べているつもり」でも、体の中では不足しはじめている――そんなことが起こりえます。 「疲れ」と栄養をつないだ日本の研究 大阪公立大学の叶内(かのうち)宏明教授らのチームが、健康な日本人 約600人 を対象に、血液の状態と「疲れ・やる気」の関係を調べました。 すると―― 血液中の「ホモシステイン」が高い人ほど、疲れが強く、やる気も低め だった ホモシステインは、B12・葉酸が足りないと増える 物質 つまり「栄養の不足が、疲れやすさの隠れた原因のひとつかもしれない」というわけです。この研究は2026年、栄養学の専門誌『Nutrients』に発表されました。 ※ これは「関係がみられた」という研究で、「B12・葉酸を増やせば必ず元気になる」と証明したものではありません。慢性的な疲れには、ほかの原因(病気など)も隠れていることがあります。 食事でとるには いちばんの基本は、やっぱり毎日の食事です。 ✅ ビタミンB12 … あさり・しじみ・牡蠣などの貝類、さんま・さば、レバー、卵、のり ✅ 葉酸 … ほうれん草・ブロッコリーなどの青菜、枝豆・納豆などの豆類、いちご・みかんなどの果物 どちらも、和食の食卓に自然と並ぶもの ばかりですね。「最近、魚や青菜を食べていないな」と思ったら、少し意識して取り入れてみてください。 なお「サプリで補えばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、自己判断で大量にとるのは禁物 です。疲れが長く続くときは、ひとりで悩まず、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。 ※ サプリメントの利用や栄養の取り方については、必ずかかりつけ医にご相談ください。 ビタミンB12と脳の関係は、こちらの記事もどうぞ。 👉 ビタミンB12、「基準値内」でも足りていないかも? おわりに 「疲れ」や「やる気の出なさ」を、気持ちや年のせいだけにしてしまうのは、少しもったいないかもしれません。その背景に、栄養という整えられる原因 がかくれていることもあるのです。 魚や貝、青菜や豆を、いつもの食卓に少しだけ増やす。そんな小さな積み重ねが、毎日の元気につながっていきます。気になる疲れが続くときは、どうぞ早めにかかりつけの先生に相談してくださいね。 📚 あわせて読みたい一冊 PR 医者が教える食事術 最強の教科書 ...

June 1, 2026 · 1 分
和食の朝ごはんの前で椅子から立ち上がろうとする高齢男性のイラスト

やせる薬で減るのは、脂肪だけではありません 〜筋肉を守りながら使うために〜

前回、「やせる薬」(GLP-1受容体作動薬といいます)が認知症に効くのかどうかを書きました。 前回の記事はこちらです。 👉 「やせる薬」は、認知症に効くのか あの記事を書いたあと、ずっと引っかかっていたことがあります。理学療法士として、いちばん気になるところに触れていなかったのです。 体重が減るのは分かりました。では、減っているのは何なのでしょうか。 ✅ 高齢の糖尿病の方432人を24か月追いかけたところ、薬を使った方は筋肉の量・握力・歩く速さが、使わなかった方より低下していました ✅ これは薬を否定する話ではありません。使うなら、筋肉を守る手を一緒に打っておきたい、という話です ✅ 守り方は地味です。たんぱく質をしっかり摂り、筋肉に力を出させること。それだけです 目次 体重が減るとき、何が減っているのか 432人を24か月追いかけた研究 この研究の弱いところも書いておきます なぜ高齢の方でとくに心配なのか 筋肉を守るために、できること 現場で見てきたこと おわりに 参考にした情報 体重が減るとき、何が減っているのか 体重計の数字は、脂肪と筋肉を区別してくれません。 食事の量が減れば、体は脂肪だけでなく筋肉も一緒に手放します。これは薬にかぎった話ではなく、どんなやせ方でも起きることです。 ただ、若い方と高齢の方では、意味がまるで違います。 あなた どう違うんですか? Torapon 若い方は、あとから筋肉を取り戻せます。でも年を重ねると、減らすのは簡単で、戻すのは何倍も大変なんです。そして高齢の方にとって筋肉は、見た目の話ではありません。立ち上がる、歩く、転ばない——暮らしそのものを支えているものなんですね。 432人を24か月追いかけた研究 2025年、中国のグループがこんな報告を出しました。 対象は65歳以上で2型糖尿病のある432人 セマグルチド(やせる薬の一種)を使った220人と、使わなかった212人を比べた 24か月追いかけて、筋肉の量・握力・歩く速さを測った 結果、薬を使ったグループは、使わなかったグループと比べて、 手足の筋肉の量が低下 握力が低下 歩く速さが低下 していました。しかも薬の量が多い方ほど、影響が大きいという関係も見えています。 もうひとつ気になるのは、参加した方の27.7%が、はじめからサルコペニア(筋肉が減って力が落ちた状態のこと)だったことです。もともと少ない方が、さらに減らしていた可能性があります。 この研究の弱いところも書いておきます 大事な但し書きです。この研究は、あとから記録をさかのぼって調べたものでした。 くじ引きで薬を使う人と使わない人を分けた研究(そのほうが確かなことが言えます)ではありません。ですから、「薬のせいで筋肉が減った」と断定はできません。 「薬を使った方には、そういう変化が見られた」——いまはそこまでです。 あなた じゃあ、そんなに心配しなくてもいいのでしょうか。 Torapon 私は、心配しすぎず、備えはしておくくらいがちょうどいいと思っています。というのも、筋肉を守る手立てはどれも、やって損のないことばかりだからです。研究の結論を待たなくても、今日から始められます。 なぜ高齢の方でとくに心配なのか 理由は単純です。筋肉が減ると、生活の自由が減るからです。 立ち上がりにくくなる 歩く速さが落ちる 転びやすくなる 転んで骨折すると、そこから寝たきりにつながることがある 体重が10キロ減って血糖値がよくなっても、歩けなくなってしまったら、差し引きで損です。そこは天秤にかけ直したいところです。 筋肉を守るために、できること やることは、たった2つです。 ・たんぱく質を、いつもより意識して摂る 食事の量が減るぶん、中身の密度を上げます。 目安は体重1キロあたり1.0〜1.2グラム。体重60キロの方なら、1日60〜72グラムです。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、毎食ひと品ずつ入れるとおおよそ届きます。 ※腎臓の病気がある方は、たんぱく質を増やすと負担になることがあります。必ずかかりつけの先生に相談してからにしてください。 ・筋肉に、力を出させる 歩くだけでは、筋肉は増えません。「よいしょ」と力を出す動きが要ります。 椅子から立ち上がる。10回を1セット、朝と晩に かかとの上げ下げ。台所で、10回 ペットボトルを持って、ひじの曲げ伸ばし。10回 きつくなくて大丈夫です。続くことのほうが、はるかに大事です。 ...

August 27, 2026 · 1 分