「脳トレって、本当に意味があるの?」――
そう感じたことは、ありませんか?

ドリルやパズルをやってはみるものの、「これで本当に認知症が防げるのかな…」と、半信半疑の方も多いと思います。

ところが最近、その問いに 20年がかりで答えを出した研究 が話題になりました。

「ある脳トレを数週間受けただけで、認知症になるリスクが下がり、その効果が最長20年続いた可能性がある」

今回は、その内容をできるだけやさしくお伝えします。

✅ 「情報を素早く処理する力」を鍛える脳トレを受けた人は、10年後の認知症リスクが約29%低かった

✅ その効果は 最長20年 続いた可能性。途中で「追加レッスン」を受けた人ほど、効果が大きかった

✅ 特別な道具はいりません。大事なのは「素早く見て・気づく」練習を 続けること


目次

  1. どんな脳トレだったの?
  2. 2,800人を20年追いかけた研究
  3. カギは「追加レッスン」
  4. おうちでできること
  5. おわりに

どんな脳トレだったの?

画面の絵を素早く見つける脳トレを楽しむ高齢のご夫婦のイラスト

今回の主役は、「情報処理スピードのトレーニング」(処理速度=見たものを素早く理解し、判断する力)と呼ばれる脳トレです。

やることはシンプルで、画面にパッと出てくる絵や記号を 素早く見つけて答える というもの。慣れてくると、表示時間がどんどん短くなり、まわりにじゃまな情報があっても、目的のものを素早く見分けられるようになっていきます。

車の運転で「歩行者や標識にパッと気づく」あの感覚に近い力、とイメージするとわかりやすいかもしれません。


2,800人を20年追いかけた研究

研究のイメージ

この研究は、アメリカで行われた 「ACTIVE研究」 という、とても大きな調査がもとになっています。

  • 対象:65歳以上の 健康な高齢者 2,802人
  • 開始:1998年ごろ から、20年以上の追跡
  • 体制:アメリカ国立衛生研究所(NIH)が支援

参加者を、いくつかの脳トレを受けるグループと、何もしないグループに分けて比べたところ――

情報処理スピードの脳トレを受けた人は、10年後に認知症と診断されるリスクが約29%低かった

そして2026年2月、医学誌『Alzheimer’s & Dementia』に発表された最新の解析では、その効果が 最長20年 にわたってみられた可能性が報告されました。


カギは「追加レッスン」

カレンダーに印をつけながら脳トレと運動をコツコツ続ける高齢者たちのイラスト

ひとつ大事なポイントがあります。それは、一度きりで終わらせないこと

最初の5〜6週間のトレーニングのあと、1〜3年後に 「追加レッスン」(ブースター) を受けた人ほど、認知症リスクがより下がっていました。レッスンを1回受けるごとに、リスクがさらに少しずつ下がっていく傾向もみられたそうです。

運動と同じで、脳トレも 「ときどき思い出して、また続ける」 ことが効いてくる、というわけですね。


おうちでできること

日常でできることのイメージ

研究で使われたのは専用のパソコンプログラムですが、その「素早く見て・気づく」エッセンスは、毎日の暮らしの中にも取り入れられます。

トランプの神経衰弱や間違い探し で、「素早く見つける」練習を

会話・カラオケ・囲碁将棋 など、人と関わりながら頭を使う遊びを

✅ そして何より、ウォーキングなど体を動かす習慣 を。体を動かすことは、最強の「脳トレ」でもあります

✅ 大切なのは「完璧」より 「ときどきでも、続けること」

あわせて読みたい記事もどうぞ。
👉 1日5,000〜7,500歩で、アルツハイマー病の進行が遅くなる?


おわりに

「脳トレに意味はあるの?」という長年の問いに、20年がかりの研究が 「やり方しだいで、確かに意味がありそう」 という、ひとつの希望を見せてくれました。

ただし、これは「これさえやれば絶対に認知症にならない」という魔法ではありません。運動・食事・睡眠・人とのつながり――そうした土台の上に、脳トレも そっと一枚加える くらいの気持ちで、気軽に続けていけたらいいですね。


📚 あわせて読みたい本

PR
大人の間違い探し脳ドリル(川島隆太教授 監修)

大人の間違い探し脳ドリル(川島隆太教授 監修)

記事で紹介した「素早く見つける」練習を、おうちでゲーム感覚で続けられる一冊。脳トレ研究の第一人者・川島隆太教授(東北大学)監修の間違い探しドリルです。名画や世界遺産の絵を見ながら、楽しく注意力・記憶力を働かせられます。

PR
運動脳(新版)

運動脳(新版)

「素早く考える脳」を育てる最大のカギは、実は運動だった――。スウェーデンの精神科医が、運動と脳の関係をやさしく解説した世界的ベストセラー。今回の脳トレの話と、ぜひあわせて読みたい一冊です。


参考にした情報

  • ACTIVE研究(情報処理速度トレーニングと認知症リスク)に関する報告
  • 医学誌『Alzheimer’s & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions』2026年2月発表の解析
  • 米国ジョンズ・ホプキンス大学などによる研究紹介

※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。脳トレの効果には個人差があり、認知症の発症を完全に防ぐものではありません。気になる症状がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。