「認知症は、女性のほうがなりやすい」――そんな話を、聞いたことはありませんか?
たしかに、患者さんの数は女性のほうが多いのですが、「長生きする人が多いから」とも言われ、はっきりした理由はわかっていませんでした。
そんな中、1万7千人を調べた研究から、こんな結果が報告されました。
「同じリスク因子でも、女性のほうが脳(思考力)への影響が強く出やすい」
今回は、私たち――特に女性とそのご家族に知っておいてほしい話を、やさしくお伝えします。
✅ 高血圧・糖尿病・肥満・難聴などがあると、男性より女性のほうが「頭の働き(記憶や判断力)の低下」につながりやすい ことがわかった
✅ 女性は うつ・運動不足・睡眠の悩み を抱える割合も、男性より高めだった
✅ でも、これらは すべて「変えられる」リスク。だからこそ、早めの対策が効きやすい
目次
どんな研究だったの?

この研究は、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校などのチームが、医学誌『Biology of Sex Differences』に発表したものです。
- 対象:中高年〜高齢の 17,000人以上
- 内容:高血圧・糖尿病・肥満・難聴・うつ・運動不足など、13の「変えられるリスク因子」 を、男女で比べた
すると、ただ「女性に患者が多い」という話ではなく、同じリスクでも女性のほうが脳への影響を強く受けやすい、という傾向が見えてきたのです。
女性で影響が強かったこと

研究からは、大きく分けて2つのことが見えてきました。
① 同じ持病でも、女性のほうが「脳への影響」が大きい
高血圧・肥満・糖尿病・難聴――これらは男性にもありますが、女性ではこれらが、より強く「頭の働きの低下」につながっていました。同じ高血圧でも、女性のほうが脳に響きやすい、というイメージです。
② そもそも、女性に多い悩みもある
次の3つは、男性よりも女性に多くみられました。
- 気分の落ち込み(うつ) … 女性は約17%、男性は約9%(女性はおよそ 2倍)
- 運動不足 … 女性は約48%、男性は約42%
- 睡眠の悩み … 女性は約45%、男性は約40%
つまり女性は、脳に影響しやすい要因を「より多く、より強く」抱えやすい、ということです。
なぜそうなるのか、はっきりした理由はまだわかっておらず、研究が続けられています。でも見方を変えれば、「女性こそ、早めに気をつけることで守れる部分が大きい」 とも言えそうです。
理学療法士として思うこと

私自身、母がアルツハイマー型認知症で施設に入所しています。だからこそ、こうした「女性と脳」の話は、どうしても他人事に思えません。
リハビリの現場でも、血圧や糖尿病、聞こえにくさ、気分の落ち込みを抱えた女性は本当に多くいらっしゃいます。そのひとつひとつが脳に効いてくるのなら、早めに手を打つ意味は大きい と、あらためて感じます。
いま、できること

特別なことは要りません。女性で影響が強かった項目こそ、早めに整えたいポイント です。
✅ 血圧 を家でときどき測る習慣を
✅ 聞こえにくさ は我慢せず、早めに耳鼻科や補聴器の相談を
✅ 体を動かす。散歩や体操を、無理のない範囲で毎日少しずつ
✅ 気分の落ち込み・眠れない が続くときは、ひとりで抱えずかかりつけ医に相談を
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おわりに
「女性のほうが影響を受けやすい」と聞くと、少し不安になるかもしれません。でも裏を返せば、手を打てば、その分しっかり守れる ということでもあります。
血圧、聞こえ、体を動かすこと、心の元気――。どれも今日から始められる、小さな一歩です。ご自身のために、そして大切なご家族のために、できるところから一緒に始めていきましょう。
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睡眠・運動・気分の落ち込み・腸内環境まで――今回の記事で出てきた「変えられるリスク」を、暮らしの中でどう整えるかが、やさしくまとまった一冊。シニア世代にも読みやすい内容です。
参考にした情報
- カリフォルニア大学サンディエゴ校などの研究(中高年〜高齢者17,000人以上)
- 医学誌『Biology of Sex Differences』2026年発表の論文
- 米国 Health and Retirement Study(健康と退職に関する調査)のデータ
※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。リスク因子の感じ方・影響には個人差があります。気になる症状や持病のある方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。