手をつなぐ老夫婦のイラスト

認知症の種類とMCIをやさしく解説 〜母のアルツハイマーから学んだ早期対応の大切さ〜

ご家族の物忘れが増えてきた、同じことを何度も聞かれる、財布や鍵をしまった場所を忘れる…。 そんな様子を見て、**「もしかして認知症かも」**と心配されていませんか? 「でも、どこに相談したらいいの?」 「本人が病院に行きたがらない」 そう悩んで、一歩踏み出せずにいる方も多いと思います。 私の母も、2017年頃から物忘れの様子が目立つようになり、のちにアルツハイマー型認知症と診断されました。家族として辛い時期を経験しましたが、今になって、こう思うことがあります。 「もっと早く相談していれば…」 と。 この記事では、認知症の種類とMCI(軽度認知障害)をやさしく解説しつつ、私自身の家族の経験から学んだ「早期対応の大切さ」をお伝えします。 ✅ 認知症は 1種類じゃない。主に4つのタイプがあります ✅ MCI(軽度認知障害)は認知症の一歩手前。気づいた時が一番大事なタイミング ✅ まずは 地域包括支援センター へ。無料で誰でも相談できます 目次 そもそも認知症とは? 認知症の主な4種類 軽度認知障害(MCI)— 認知症の一歩手前 我が家の経験 — 母のアルツハイマーと家族の時間 困ったときの相談先 まとめ — チェックリスト おわりに そもそも認知症とは? 認知症とは、いろいろな原因で脳の働きが弱くなり、生活に支障が出てくる状態のことを言います。 「物忘れ」と「認知症」は、似ているようで違います。 加齢による物忘れ 認知症 忘れる範囲 体験の 一部 を忘れる 体験 そのもの を忘れる 自覚 本人が気づいている 本人が気づきにくい 日常生活 支障はない 支障が出てくる たとえば、こんな違いがあります。 「朝ご飯に何を食べたか思い出せない」のは 加齢の物忘れ 「朝ご飯を食べたこと自体を覚えていない」のが 認知症のサイン ここに、大きな違いがあります。 認知症の主な4種類 認知症と一口に言っても、原因となる病気は大きく分けて 4つ あります。 種類 おおよその割合 主な特徴 アルツハイマー型認知症 約 6割 物忘れから始まり、ゆっくり進行 血管性認知症 約 2割 脳梗塞・脳出血が原因。手足の麻痺を伴うことも レビー小体型認知症 約 1割 幻視、パーキンソン症状(手のふるえ・小刻み歩行) 前頭側頭型認知症 数% 性格の変化、社会のルールを守れなくなる ※ 厚生労働省・国立長寿医療研究センターの資料をもとにまとめています。 ...

May 4, 2026 · 2 分
地域の仲間と一緒に歩く高齢者のイメージ

『何を、どれくらい』のヒントが見えてきました 〜MCIから始める運動の最適解〜

「MCI(軽度認知障害) と言われたけれど、いったい何から始めればいいのか分からない…」 「運動がいいのは分かるけど、 何を、どれくらい やれば本当に効くのかしら?」 そんなお声を、地域の体操教室や介護現場でよく耳にします。 実は、2026年に入ってから MCIや軽度の認知症の方を対象にした運動研究 が立て続けに公表されました。 中身を読んでみると、これまで「とりあえず体を動かしましょう」と曖昧になっていた部分に、 具体的な答えのヒント が見えてきています。 今日は、特に注目したい 2つの研究 を、現場の目線でやさしくご紹介します。 ✅ 「何を、どれくらい」が見えてきました:複数の運動を組み合わせて、週3回以上 がひとつの目安です ✅ 続けることが何より大切:5年間の追跡では、参加率60%以上 のグループに認知機能の安定した経過傾向がみられました ✅ 一人で頑張らないこと:地域の仲間と一緒にやると 長続きしやすい——これが「効く運動」の隠れた条件かもしれません 少し長めの記事になりますので、気になるところからお読みください。 そもそも:MCI(軽度認知障害)ってどんな状態? 研究①:MCIの方に「どんな運動が効く」のか? 研究②:5年続けると、本当に差が出るのか? 「組み合わせる」と「続ける」のかけ算 家でできる組み合わせ運動の例 Toraponの現場から:地域体操教室で感じていること いま私たちにできること おわりに 〜進行しても、遅らせることはできる〜 そもそも:MCI(軽度認知障害)ってどんな状態? MCI(エム・シー・アイ) は Mild Cognitive Impairment の略で、日本語では「軽度認知障害」と呼ばれます。 ひとことで言うと、 「年相応の物忘れ」と「認知症」の あいだの状態 です。本人やご家族が「あれ?」と気付くことはあっても、まだ日常生活には大きな支障が出ていない段階のことを言います。 ただ、ここからが大事な話で、MCIは そのままにしておくと数年で認知症に進む方 もいれば、 元の状態に戻られる方や、長く安定したまま過ごされる方 もいらっしゃいます。 つまり、MCIは 「いま何をするか」で先が変わってくる段階 ——「分かれ道」のような時期です。 だからこそ、 「何を、どれくらいやればいいのか」 をできるだけ具体的に知っておきたいですよね。 研究①:MCIの方に「どんな運動が効く」のか? ひとつ目は、 MCIの方にどんな運動が一番効くのか を世界中の研究をまとめて比較した報告です(ネットワークメタ解析 と呼ばれる手法)。 複数のランダム化比較試験を集めて、 有酸素運動(ウォーキング・自転車など) 筋トレ(レジスタンス運動) バランス運動(太極拳・体操など) デュアルタスク(二重課題) 運動 を、 どれが一番認知機能を改善するか という観点で比べたものです。 ...

May 20, 2026 · 2 分
脳のイラスト

脳は「自分で治す力」を取り戻せる? 〜改良型ビタミンKと神経再生の研究〜

「一度こわれた脳の神経は、もう元には戻らない」―― 長いあいだ、そう考えられてきました。 でも、その常識を少しずつ書きかえるような研究が出てきています。今回は、日本の大学から届いた、こんなお話です。 ビタミンKを改良した新しい物質が、「神経のもと」から神経細胞が育つのを、約3倍も後押しした ワクワクする話ですが、これも まだ研究の入り口 の段階です。「将来が楽しみな芽」として、やさしくお伝えします。 ✅ 芝浦工業大学のチームが、ビタミンKを改良した新しい化合物 をつくった ✅ その化合物は、「神経のもと(神経幹細胞)」を神経細胞に変える力が、天然のビタミンKの約3倍 だった ✅ ただし、これは 培養した細胞での実験。市販のビタミンKサプリとは 別物 で、「飲めば脳が再生する」話ではありません 目次 神経細胞は、本当に増えないの? 改良型ビタミンKの研究 ここを誤解しないで おわりに 神経細胞は、本当に増えないの? 私たちの脳は、たくさんの 神経細胞 がつながり合ってできています。これらは増えにくく、傷つくと戻りにくい――それが長年の「常識」でした。 ところが近年、脳の中には「神経のもと(神経幹細胞=しんけいかんさいぼう)」が残っていて、条件がそろえば 新しい神経細胞が生まれうる ことが分かってきました。そこで「このもとを、上手に神経細胞へ育てられないか?」という研究が進んでいるのです。 改良型ビタミンKの研究 芝浦工業大学のチームは、ビタミンK に注目しました。ビタミンKをそのまま使うのではなく、ビタミンAに関係する成分と組み合わせて、新しい化合物を設計したのです。 すると、その化合物は「神経のもと」を神経細胞に変える力が、天然のビタミンKのおよそ3倍 にもなりました。研究チームは、将来的に アルツハイマー病やパーキンソン病 のように神経が失われる病気の治療に、役立つ可能性があると期待しています。 この研究は2026年、専門誌『ACS Chemical Neuroscience』に発表されました。 ここを誤解しないで とても大事な注意点があります。 今回すごい働きを見せたのは、研究者が 新しく設計した特別な化合物 です。納豆や青菜に含まれる、ふだんのビタミンKとは別物 ですし、市販のビタミンKサプリを飲めば脳が再生する、という話ではありません。 また、実験は 培養した細胞 で行われたもので、人や動物の体で確かめるのはこれからです。期待しすぎず、研究の進み具合を見守りたいですね。 ⚠️ 血液をさらさらにするお薬(ワルファリンなど)を飲んでいる方 は、ビタミンKのとり方に注意が必要です。食事やサプリを変える前に、必ずかかりつけ医にご相談ください。 ビタミンKそのものは、骨や血管の健康に欠かせない大切な栄養です。納豆・ほうれん草・ブロッコリーなどから、ふだんの食事でバランスよく とるのがおすすめです。 おわりに 「こわれた脳は戻らない」という常識が、研究の進歩で少しずつ変わろうとしています。脳が 自分自身を修復する力 を引き出す――そんな未来の入り口に、私たちは立っているのかもしれません。 すぐに治療が変わるわけではありませんが、こうした地道な研究の積み重ねが、いつか大きな希望につながります。今日できることは、バランスのよい食事と、無理のない生活。基本を大切にしながら、明るいニュースを待ちましょう。 📚 あわせて読みたい一冊 PR LIFESPAN(ライフスパン)老いなき世界 ハーバード大学の老化研究の第一人者が、「老い」を科学の力でどこまで遅らせ、若返らせられるのかを語った世界的ベストセラー。体や脳が自分を修復する力という、今回の話とも通じるテーマを大きな視野で学べます。 Amazonで見る 楽天で見る 参考にした情報 芝浦工業大学の研究チーム(ビタミンKを改良した神経再生化合物) 専門誌『ACS Chemical Neuroscience』2026年発表の論文 ※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。紹介した内容は培養細胞を用いた研究段階のものであり、治療効果やサプリメントの効果を示すものではありません。お薬の服用中の方・治療中の方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

June 1, 2026 · 1 分
薬と家族のあたたかいイメージ

認知症の薬、いま何が変わったのか 〜『症状をやわらげる薬』と『進行を遅らせる薬』〜

ご家族がアルツハイマー型認知症と診断されたとき、最初に気になるのは「お薬で何ができるんだろう?」ということではないでしょうか。 「最近、新しい薬の話題をよくニュースで見るけれど、自分や家族にも使えるのかな?」と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。 実は認知症の薬物療法は、ここ数年で 大きな転換点 を迎えています。 今日はその全体像を、できるだけやさしく整理してみます。 ✅ 認知症の薬は 「症状をやわらげる薬」 と 「進行を遅らせる薬(疾患修飾薬・DMT)」 の2系統に分かれてきている ✅ 注目の新薬(レカネマブ・ドナネマブ)は MCI〜軽度の段階 で、かつ アミロイド検査 の確認が必須 ✅ 薬だけでは完結しません。早期発見・運動・食事・対人交流を組み合わせた 「統合的アプローチ」 が大前提です 少し長めの記事になりますので、気になるところからお読みください。 そもそも:認知症の薬には2つの流れがある これまでの主役:症状をやわらげる4つの薬 新世代の薬:『進行を遅らせる』DMT 新薬の副作用「ARIA」をどう見守るか 2026年以降:さらに広がる治療の選択肢 薬だけでは完結しない:統合的アプローチ いま私たちにできること そもそも:認知症の薬には2つの流れがある あなた 先生、新しい認知症の薬ってよくニュースで聞くんですけど、これまでの薬と何が違うんですか? Torapon いい質問ですね。実は認知症の薬には、いま大きく 2つの流れ があるんですよ。 ひとつ目は、症状をやわらげる薬(対症療法薬) です。 神経の働きを調整することで、記憶力や意欲、行動の悪化のスピードをゆるやかにしてくれます。 これまでの認知症治療の 主役 だったお薬です。 ふたつ目が、近年登場した 進行を遅らせる薬(疾患修飾薬=DMT) です。 DMTは「Disease-Modifying Therapy」の略で、病気の経過そのものを変える治療 という意味です。 これまでの薬のように症状をやわらげるのではなく、病気の原因物質そのもの に直接働きかけて、進行のスピードを抑えようとする、まったく新しいタイプのお薬です。 あなた 「原因物質」って、いったい何のことですか? Torapon アルツハイマー型認知症の場合、脳に アミロイドβ(ベータ)——ねばねばしたたんぱく質のかたまりが、20〜30年もかけて少しずつ溜まっていくことが、発症の一因と考えられているんです。 新世代の薬は、この アミロイドβを脳から取り除く ことを目的としています。 これまでの主役:症状をやわらげる4つの薬 日本では、長らく以下の 4種類 が使われてきました。 症状や重症度、合併症、ご本人の状況にあわせて、医師が一人ひとりに合うものを選びます。 お薬の名前 特徴 主な適応 ドネペジル(アリセプト®) 内服。意欲低下や自発性の低下が目立つときに 軽度〜高度のAD、レビー小体型認知症 にも保険適応 ガランタミン(レミニール®) 内服。液剤もあり、固形物が飲みにくい方に 軽度〜中等度のAD リバスチグミン(イクセロンパッチ®/リバスタッチ®) 唯一の貼り薬 ◎ 飲み込みが心配な方や、内服での吐き気を避けたい方に 軽度〜中等度のAD メマンチン(メマリー®) 上の3剤と 併用できる ◎ イライラ・攻撃性・焦燥感が強いときに 中等度〜高度のAD ※AD=アルツハイマー型認知症の略です。 ...

May 10, 2026 · 2 分
朝日のイラスト

アルツハイマー病に明るい光? 〜『NAD+』研究の進展と、いま私たちにできること〜

ご家族にアルツハイマー病の方がいらっしゃる、あるいは「もしかして自分も…」と気になっている。 そんな方にとって、「いつか治る薬は出るのだろうか」 という思いは、いつも心のどこかにあるのではないでしょうか。 最近、医療ニュースで興味深い研究が紹介されました。 「進行したアルツハイマー病が『元に戻る』可能性」 そんな見出しが踊る、最新の研究レポートです。 私自身、母がアルツハイマー型認知症で施設に入所しているので、この記事を読んだとき、思わず食い入るように画面を見つめました。 今回は、その内容を 冷静に、わかりやすく お伝えしつつ、いま私たちにできることを一緒に考えてみたいと思います。 ✅ 海外で「進行したアルツハイマー病から脳の機能を取り戻す可能性」を示す研究が発表されました ✅ 鍵となるのは 「NAD+(ナドプラス)」 という、細胞のエネルギー源となる物質 ✅ ただし まだマウスの段階。すぐ使える治療ではないけれど、これまでにない新しい希望が見えてきました 目次 これまでの治療と、何が違うの? NAD+(ナドプラス)ってどんな物質? 研究でわかったこと でも、すぐ人に使えるわけじゃない理由 私が感じたこと いま、私たちにできること おわりに これまでの治療と、何が違うの? これまでのアルツハイマー病の治療や薬は、「進行を遅らせる」ことが目標でした。 最近話題になった抗体薬(レカネマブなど)も、脳にたまる「アミロイドβ」というゴミを取り除いて、進行をゆっくりにする働きをします。とても大切な進歩ですが、「失われた記憶や能力が戻ってくる」わけではありません。 ところが今回の研究では── これまでの治療 今回の研究 目標 進行を 遅らせる 失われた機能を 取り戻す ねらい アミロイドβの除去 脳の 修復力 を取り戻す 段階 一部すでに使用中 まだマウス実験 「取り戻す可能性」というのは、これまでなかった視点です。だから医療界では 画期的 と評価されています。 NAD+(ナドプラス)ってどんな物質? NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド) という名前は難しいですが、はたらきはシンプルです。 私たちの すべての細胞の中 に存在し、エネルギーを生み出したり、傷ついた DNA を修復したり するために欠かせない、いわば「燃料」のような物質です。 体が元気に動くにも、傷を治すにも、NAD+ が必要です。 NAD+ が枯渇すると… 研究チームは、アルツハイマー病のマウスの脳と、実際の人間の患者さんの脳でも、この NAD+ のバランスが崩れて、枯渇している ことを突き止めました。 つまり── 脳がダメージを受けても、それを 修復するための「燃料」が足りない。 結果として、脳の防御システムが崩れ、アルツハイマー病が進んでいく。 ...

May 4, 2026 · 1 分
朝日と研究のイメージ

アルツハイマーの「炎症スイッチ」が見つかった? 〜脳の火を消す研究の最前線〜

「認知症の薬や治療は、これからどうなっていくの?」 ご家族のことを思って、そんなふうに気になっている方も多いと思います。 今回は、アルツハイマー病の研究の最前線から、ひとつ明るいニュースが届きました。 アルツハイマー病の脳で「炎症を止まらなくするスイッチ」になっているタンパク質が見つかった ただし、これは まだ研究の段階 の話です。期待しすぎず、でも前向きに――そんな気持ちで読んでいただければと思います。 ✅ アルツハイマー病の脳では「STING(スティング)」というタンパク質が、炎症をいつまでも続けさせるスイッチ になっていた ✅ マウスの実験で、このスイッチが入るのを防いだところ、脳の炎症がやわらいだ ✅ ただし 動物実験の段階 で、すぐに使える薬ではない。「新しい治療の的(まと)が見つかった」というニュースです 目次 そもそも「脳の炎症」って? 見つかった「炎症スイッチ」の話 いま私たちにできること おわりに そもそも「脳の炎症」って? 私たちの体には、ばい菌やケガから身を守る「免疫(めんえき)」のしくみがあります。脳にも、同じように見張り役の細胞がいて、異常があると 炎症 を起こして対応します。 ところが、この炎症が 必要もないのにずっと続いてしまう と、今度は脳そのものを傷つけてしまいます。アルツハイマー病では、この「消えない炎症」が、神経のつながりを弱らせる一因と考えられてきました。 見つかった「炎症スイッチ」の話 アメリカのスクリプス研究所のチームが、この「消えない炎症」の犯人をつきとめました。 カギになっていたのは、免疫の見張り役として働く「STING(スティング)」というタンパク質です。アルツハイマー病の脳では、このSTINGが 化学的に変化 してしまい、炎症のスイッチが入りっぱなしになっていたのです。 そこで研究チームが、マウスの実験で この変化が起きないように したところ――脳の炎症がやわらいだことが確認されました。研究を率いた神経内科医のスチュアート・リプトン博士は、これを「アルツハイマー病の新しい、重要な治療の的(まと)になる」と話しています。 ※ この研究は2026年、医学誌『Cell Chemical Biology』に発表されたものです。マウスでの段階 であり、人に使える薬ができたわけではありません。 いま私たちにできること 「新しい薬を待つ」だけでなく、今日からできること もあります。脳の余計な炎症を抑えるには、こんな生活習慣が役立つと考えられています。 ✅ 適度な運動 を続ける(歩く・体操など) ✅ しっかり眠る(睡眠中に脳の掃除が進みます) ✅ 野菜・魚を中心としたバランスのよい食事 ✅ 歯みがき・歯科受診など 口の中を清潔に保つ(歯周病の炎症も関係するといわれます) 特別なことではなく、いつもの暮らしの延長です。 運動と脳の関係は、こちらの記事もどうぞ。 👉 認知症を遠ざける運動のヒント おわりに 炎症という「脳の中の火」を、どこで消せばいいのか――その スイッチの場所 が見えてきた。これは、これからの認知症研究にとって大きな一歩です。 すぐに治療が変わるわけではありませんが、世界中の研究者が一歩ずつ前に進んでいます。私たちは過度に不安にならず、今できる生活習慣を大切にしながら、こうした明るいニュースを待ちたいですね。 📚 あわせて読みたい一冊 PR アルツハイマー病 真実と終焉 アルツハイマー病を「炎症・栄養・毒素」など複数の原因から見直す、世界的に話題になった一冊(白澤卓二先生監修)。今回の炎症の話とも通じる、生活習慣からのアプローチがやさしく整理されています。 Amazonで見る 楽天で見る 参考にした情報 スクリプス研究所(米国)の研究/責任著者:スチュアート・リプトン博士 医学誌『Cell Chemical Biology』2026年発表の論文(STINGタンパク質と脳の炎症) ※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。紹介した内容は研究段階のものであり、治療効果を保証するものではありません。治療やお薬については、必ず主治医・かかりつけ医にご相談ください。

June 1, 2026 · 1 分
あたたかい朝のイメージ

認知症ガイドラインが9年ぶりに大改訂 〜『治せない病』から『進行を抑える病』へ〜

「認知症は、もう治せない病気だと思っていませんか?」 最近のニュースで、新しいお薬(レカネマブ・ドナネマブ)の話題を耳にした方も多いと思います。「うちの家族にも使えるのかな?」「薬がダメでも、家でできることってあるの?」——そんな疑問を抱えていらっしゃるご家族・ご本人もいらっしゃるのではないでしょうか。 実は、2026年5月、日本の認知症治療の 教科書(ガイドライン) が 9年ぶりに大改訂 されました。 中身を読むと、認知症をめぐる景色が この10年で大きく変わった ことがよく分かります。 今日はその改訂のポイントを、できるだけやさしく整理してみます。 ✅ 認知症は「治せない病」から 「進行を抑える病」 へと、医療の前提が変わってきています ✅ 新しいお薬は MCI〜軽度 が対象。それ以外の方や進行例には 運動療法・認知リハ・音楽療法 がしっかり位置づけられました ✅ 中でも 「二重課題(デュアルタスク)」 は、認知機能が低下した方にも取り入れやすい新しい運動の形です 少し長めの記事になりますので、気になるところからお読みください。 そもそも:「ガイドライン」って何のこと? 改訂のポイント①:「治せない」から「進行を抑える」へ 改訂のポイント②:新しいお薬の位置づけが明確に 改訂のポイント③:非薬物療法がしっかり書き込まれた PTの目から見た「二重課題運動」の重要性 家でできる二重課題の例 いま私たちにできること おわりに 〜希望が持てる時代へ〜 そもそも:「ガイドライン」って何のこと? ガイドラインというのは、ひとことで言えば お医者さんたちの「最新の教科書」 です。 日本では各分野の専門学会が、その時点で最も信頼できる研究をまとめて「いま、この病気にはこう向き合うのが標準ですよ」という指針を作っています。今回大改訂されたのは、日本神経学会などが中心となってまとめている 『認知症疾患診療ガイドライン2026』。 前のバージョンは2017年版。9年ぶりの大改訂 ということになります。 なぜ9年もかかったのか。それは、ここ数年で 認知症の景色が大きく変わった からです。 改訂のポイント①:「治せない」から「進行を抑える」へ これが、今回の改訂の 一番大きな変化 だと私は感じています。 2017年の前回版が出た頃、認知症は「進行を止められない病」と考えられていました。お薬は 症状をやわらげる ことが目的で、病気そのものの進行には手が出せませんでした。 ところが、2023年末に レカネマブ、2024年に ドナネマブ という新しいタイプのお薬が日本で承認されたことで、状況が変わります。 これらの新薬は、アルツハイマー病の原因と考えられている アミロイドβ(ベータ) という脳のゴミを取り除くことで、病気の進行そのものを遅らせる ことを目指したお薬です。 つまり—— 2017年:認知症は「治療不可能な病」 2026年:認知症は「進行を抑制できる病」 このわずか9年で、認知症医療の前提が 180度近く変わった わけです。 💡 詳しい新薬の解説は、以前まとめた記事もぜひ参考にしてください。 👉 認知症の薬、いま何が変わったのか ...

May 19, 2026 · 2 分
高齢の親を見守る家族のイラスト

介護(認知症)予防は『早く相談する』ことから。家族が気づいたときに取るべき行動

「最近、親の様子が前と違う気がする…」 「物忘れが増えてきたみたいで心配」 そんな違和感を感じていらっしゃる方へ。介護予防でいちばん大事なのは『気づいたらすぐ相談すること』 です。 私自身、認知症の母を介護する家族のひとりでもあります。理学療法士として現場で多くのご家族を見てきましたが、「もっと早く相談していれば…」と後悔されるケースが本当に多いんです。 結論:違和感に気づいたら、この2つに連絡を かかりつけ医(または神経内科)に受診 地域包括支援センター に相談 どちらも介護認定を受ける前から利用OKです。 私が後悔していること うちの母は、まもなく75歳。認知症で、いまでは要介護3になりました。 最初は「ちょっと物忘れが多くなったかな」程度でした。でも、当時の私はもっと早く動けばよかったと、今になって思います。 最初に「あれ?」と思ったとき、すぐに病院や地域包括支援センターに連れて行っていれば、もう少し違った形で過ごせていたかもしれない のです。 認知症は 早い段階で脳にアプローチする ことで、進行を緩やかにできる可能性があります。 こんな変化に気づいたら、放っておかないで ご家族の中で、こんなサインが出ていないかチェックしてみてください。 同じ話を何度も繰り返す 物の置き場所がわからなくなり、探し物が増えた 約束や予定を忘れることが増えた 言葉が出てこない、つじつまが合わない 出かける準備に時間がかかるようになった 服装や身だしなみに無頓着になった さらに、ひとりで出かけて帰り道がわからなくなる ようなことがあれば、早急な対応が必要です。 💡 「歳のせいかな」で済ませず、変化に気づいたらすぐに行動 を。これが介護予防の第一歩です。 相談先①:かかりつけ医(または神経内科) まずは医療面から。普段から通っているお医者さまがいれば、その先生に相談してみてください。 「最近、母の物忘れが気になるんです」と伝えれば、適切な専門医を紹介してくれることが多いです。 かかりつけ医がいない場合は、ご近所の方に評判を聞いてみたり、お住まいの地域名と「神経内科」「認知症外来」などで検索してみましょう。 相談先②:地域包括支援センター 医療と並行して、ぜひ訪ねてほしいのが 地域包括支援センター です。 各市町村に必ず設置されている、高齢者の総合相談窓口 です。 何ができる場所? 介護に関する困りごとの相談 介護保険の使い方の説明 介護認定の申請サポート 介護保険を使う前の予防サービスの紹介 各種地域サービスの情報提供 🔍 お住まいの地域の地域包括支援センターは こちら から検索できます。 「まだ介護認定を受けていないんですが…」でも大丈夫 これ、誤解されがちなのですが、介護認定を受けていなくても相談できます。 「最近、親の様子が気になって…」と話すだけでもOK。担当の方が今後の見通しや、利用できるサービスを一緒に考えてくれます。 介護認定の前から使えるサービスもあります 意外と知られていないのですが、介護認定を受ける前の段階でも 使えるサービスがいろいろあります。 たとえば: 専門家がご自宅に訪問して、認知機能や栄養面のアドバイス(短期集中型) 地域の住民が運営する 健康体操 や サロン への参加 ひとり暮らしの方向けの、ゴミ出し・布団干し・買い物支援 地域によってサービスの内容や量に差はありますが、「うちの地域ではどんな支援があるか」を聞いてみるだけでも価値あり です。 ...

November 8, 2021 · 1 分