栄養バランスのよい和食の食卓のイラスト

その「疲れ」「やる気の出なさ」、栄養不足のサインかも? 〜ビタミンB12・葉酸と疲労の意外な関係〜

「しっかり寝ているのに、なんだか疲れがとれない」 「以前ほど、やる気がわいてこない」―― そんなふうに感じることはありませんか? 年のせいかな、と思いがちですが、実は 毎日の食事(栄養) が関係しているかもしれません。今回は、日本の研究から届いた、こんなお話です。 ビタミンB12と葉酸(ようさん)が足りない人ほど、「疲れ」や「やる気の低下」が大きかった ✅ 健康な日本人 約600人 を調べたところ、B12・葉酸が不足ぎみの人ほど、疲れやすく・やる気が出にくい 傾向があった ✅ カギになったのは「ホモシステイン」という血液中の物質。B12・葉酸が足りないと、これが増える ✅ ただし「サプリを飲めば元気になる」と決まったわけではない。まずは 食事の見直し から 目次 B12・葉酸ってどんな栄養? 「疲れ」と栄養をつないだ日本の研究 食事でとるには おわりに B12・葉酸ってどんな栄養? ビタミンB12 と 葉酸 は、どちらも血液や神経を元気に保つために欠かせない栄養素です。2つは チームのように協力して 働いています。 困ったことに、年を重ねると 吸収する力が落ちやすい うえ、葉酸は野菜不足などで足りなくなりがちです。「ちゃんと食べているつもり」でも、体の中では不足しはじめている――そんなことが起こりえます。 「疲れ」と栄養をつないだ日本の研究 大阪公立大学の叶内(かのうち)宏明教授らのチームが、健康な日本人 約600人 を対象に、血液の状態と「疲れ・やる気」の関係を調べました。 すると―― 血液中の「ホモシステイン」が高い人ほど、疲れが強く、やる気も低め だった ホモシステインは、B12・葉酸が足りないと増える 物質 つまり「栄養の不足が、疲れやすさの隠れた原因のひとつかもしれない」というわけです。この研究は2026年、栄養学の専門誌『Nutrients』に発表されました。 ※ これは「関係がみられた」という研究で、「B12・葉酸を増やせば必ず元気になる」と証明したものではありません。慢性的な疲れには、ほかの原因(病気など)も隠れていることがあります。 食事でとるには いちばんの基本は、やっぱり毎日の食事です。 ✅ ビタミンB12 … あさり・しじみ・牡蠣などの貝類、さんま・さば、レバー、卵、のり ✅ 葉酸 … ほうれん草・ブロッコリーなどの青菜、枝豆・納豆などの豆類、いちご・みかんなどの果物 どちらも、和食の食卓に自然と並ぶもの ばかりですね。「最近、魚や青菜を食べていないな」と思ったら、少し意識して取り入れてみてください。 なお「サプリで補えばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、自己判断で大量にとるのは禁物 です。疲れが長く続くときは、ひとりで悩まず、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。 ※ サプリメントの利用や栄養の取り方については、必ずかかりつけ医にご相談ください。 ビタミンB12と脳の関係は、こちらの記事もどうぞ。 👉 ビタミンB12、「基準値内」でも足りていないかも? おわりに 「疲れ」や「やる気の出なさ」を、気持ちや年のせいだけにしてしまうのは、少しもったいないかもしれません。その背景に、栄養という整えられる原因 がかくれていることもあるのです。 魚や貝、青菜や豆を、いつもの食卓に少しだけ増やす。そんな小さな積み重ねが、毎日の元気につながっていきます。気になる疲れが続くときは、どうぞ早めにかかりつけの先生に相談してくださいね。 📚 あわせて読みたい一冊 PR 医者が教える食事術 最強の教科書 ...

June 1, 2026 · 1 分
台所のテーブルでサプリメントの瓶を手に取り、考えている女性のイラスト

ひざのために飲んでいたサプリが、脳には? 〜グルコサミンをめぐる新しい報告〜

「ひざにいいらしいよ」 そう聞いて、グルコサミンを飲みはじめた。あるいは、親御さんに送っている。テレビでも新聞でも見かけますし、ドラッグストアの棚には、いつも大きく並んでいます。 そのグルコサミンについて、2026年6月、少し気になる報告が出ました。 先にお伝えしておきます。この記事は「いますぐやめてください」という話ではありません。 むしろ研究をよく読むと、そう単純な話ではないことが分かります。ただ、知っておいたほうがいい内容ではありました。 ✅ アメリカの研究で、グルコサミンを使っていた人は、軽い物忘れ(MCI)から認知症に進む割合が25%高かったという報告が出ました ✅ ただし動物実験では、健康な脳ではまったく変化が起きませんでした。影響が出たのは、すでにアルツハイマー病の状態にあった場合だけです ✅ 研究者自身が「関連が見えただけで、原因と決まったわけではない」と述べています。やめるかどうかは、かかりつけの先生と相談して決めることです サプリとのつき合い方全般については、こちらもあわせてどうぞ。 👉 健康にかけるお金は年15.7万円。それでも「何を信じたらいい?」 目次 そもそもグルコサミンとは 何が報告されたのか ここがいちばん大事なところ 正直に書いておきたいこの研究の弱いところ ひざには効いているのでしょうか 天秤にかけ直してみませんか 理学療法士として現場で思うこと いま私たちにできること おわりに 参考にした情報 そもそもグルコサミンとは グルコサミンは、糖の仲間 です。名前に「グルコ」とついているとおり、ブドウ糖に近い形をしています。 体の中では、関節の軟骨(なんこつ=骨と骨の間のクッション)をつくる材料のひとつとして使われています。ですから「すり減った軟骨の材料を、飲んで補おう」という考え方で、サプリとして売られてきました。 考え方としては、とても分かりやすいですよね。減ったものを足す。だからこれだけ広まったのだと思います。 ただ、ここで一つ、頭の隅に置いておいていただきたいことがあります。 飲んだグルコサミンは、ひざにだけ届くわけではありません。 体じゅうを巡ります。当然、脳にも届きます。今回の研究は、その「脳に届いたあと」の話です。 あなた ひざのために飲んでいるのに、脳の話になるんですか? Torapon そこが、今回いちばん意外だったところです。口から入れたものは、行き先を選べません。 ひざに効かせたくても、体じゅうに配られてしまう。だから研究者の方たちは「では、ほかの場所では何が起きているのだろう」と調べたわけですね。 何が報告されたのか 報告したのは、アメリカ・フロリダ大学 の研究チームです。2026年6月9日、『nature』の姉妹誌である 『Nature Metabolism』 に発表されました。 この研究のおもしろいところは、まったく違う3つの方法で、同じ方向の結果が出た ことです。ひとつずつ見ていきます。 ① 病院の記録を、大量に調べた フロリダ大学の病院に残っていた、2012年から2024年までの患者さんの記録(お名前などが分からないように処理したもの)を調べました。人数はこうです。 グループ 人数 うちグルコサミンを使っていた人 認知症の診断がある方 24,481人 1,896人(約8%) 軽度認知障害(MCI)の方 41,884人 2,750人(約8%) ※ 軽度認知障害(MCI) … 物忘れは出ているけれど、日常生活はまだ自分でできる段階。認知症の一歩手前と言われます。 追いかけた期間は、中央値でおよそ5年 でした。その結果、こうなりました。 軽度認知障害の方 … グルコサミンを使っていた人は、認知症に進んだ割合が25%高かった すでに認知症の診断がある方 … 1年以上使っていた人は、亡くなる割合が25%高かった ② 亡くなった方の脳を、直接調べた 次に研究チームは、アルツハイマー病の方20人の脳(前頭葉の表面) を、特殊な質量分析という方法で調べました。 ...

August 22, 2026 · 2 分
食卓に置かれた焼き魚と、その隣に並ぶサプリメントの瓶のイラスト

脳には、ちゃんと届いていました 〜DHAのサプリと、2年後の脳の話〜

「頭のために、DHAを飲んでいます」 外来やリハビリの場で、何度も聞いた言葉です。テレビでも、新聞の広告でも、よく見かけます。魚の油が脳にいいというのは、もうすっかり定着した話になりました。 私自身、長いあいだ「まあ、悪いことではないだろう」と思っていました。 ところが2026年、その考え方をひとつ整理し直す研究が出ました。しかも、期待はずれだったからではありません。期待どおりだったのに、その先が続かなかったからです。 ✅ DHAのサプリを2年間しっかり飲んだ方の髄液を調べたら、脳にはちゃんと届いていました。ここは、はっきり証明されました ✅ ところが2年後の脳の大きさも、考える力も、飲まなかった方と差は見つかりませんでした ✅ 一方で、食べものとしての魚については、たくさん食べる方のほうが認知症が2割ほど少ないという報告が続いています。魚とカプセルは、別の話として考えたほうがよさそうです ひざのサプリについても、似た構図の記事を書いています。あわせてお読みください。 👉 ひざのために飲んでいたサプリが、脳には 目次 まず、この研究のすごいところ 脳には、たしかに届いていた それでも、2年後は変わらなかった 正直に書いておきたい、この研究の限界 「かえって早いのでは」という報告と、その反論 これまでの研究をまとめると では、魚そのものはどうなのか 公的機関は、どう言っているか いま飲んでいる方へ 現場で見てきたこと いま、私たちにできること おわりに 参考にした情報 まず、この研究のすごいところ アメリカ・南カリフォルニア大学のグループが行った「PreventE4」という試験です。 サプリの研究というと、「飲んでいる人と飲んでいない人を比べた」というものが大半です。それでは、もともと健康に気をつかう人がサプリを飲んでいるだけかもしれません。 この試験は違います。 くじ引きで、DHAを飲むグループと、見た目が同じ偽物を飲むグループに分けた 本人にも、調べる側にも、どちらか分からないようにした 739人を調べて、条件に合う365人を追いかけた 期間は2年間 対象になったのは、平均66歳で、まだ認知症のない方たち。しかも「ふだん魚をあまり食べない方」(食事からのDHAが1日200mg未満)に絞っています。もともと足りていない人に足したら、どうなるか。よく考えられた設計です。 飲んだ量は1日2グラム。 市販のサプリよりかなり多い量です。 脳には、たしかに届いていた この試験がいちばん知りたかったのは、実は「頭が良くなるか」ではありませんでした。 飲んだDHAが、本当に脳まで届くのか。 そこを確かめることが第一の目的でした。 そのために、背中から針を刺して髄液(脳と脊髄をひたしている液体)を採るという、かなり大変な検査をしています。 結果は、はっきりしていました。 髄液のDHAの変わり方 DHAを飲んだ方 増えた(+0.17) 偽物を飲んだ方 ほぼ変わらず(−0.02) 血液のほうでも、オメガ3の指標が4.9%から11.0%へと、しっかり上がっていました。 飲めば届く。 これは、この試験が証明したことです。 あなた 届いているなら、いいことなのでは? Torapon 私も最初にそう思いました。ここまでは、期待どおりだったんです。 問題は、その先でした。届いたのに、その先で何かが変わったようには見えなかったんですね。 それでも、2年後は変わらなかった 2年後、参加した方たちの脳をMRIで調べ、考える力の検査も行いました。 海馬(記憶にかかわる部分)の大きさ……差は見つからず 大脳皮質の厚み……差は見つからず 考える力の検査……差は見つからず 脳には届いた。でも、脳は変わらなかった。 これがこの試験の結論です。研究者たちは論文の最後で、「今後は、サプリを飲ませる試験よりも、脳のなかでDHAがどう使われているかの研究を優先すべきだ」と書いています。かなり踏み込んだ書き方だと思います。 正直に書いておきたい、この研究の限界 ただし、この結果も慎重に読む必要があります。 ひとつめ。考える力の検査は、この試験の「おまけ」でした。 この試験がいちばん確かめたかったのは、あくまで髄液にDHAが増えるかです。考える力の検査は「探索的」、つまり参考として調べた項目でした。ですから、認知機能に効かないことが証明された、とまでは言えません。 ふたつめ。途中でやめた方が4割近くいました。 ...

September 6, 2026 · 2 分
夜空の下、月明かりにそっと照らされる脳のイラスト

ぐっすり眠ると、脳が掃除される? 〜眠りと脳のふしぎな関係〜

「最近、ぐっすり眠れていますか?」 夜中に何度も目が覚めたり、朝起きても疲れが残っていたり——。 そんな日が続くと、なんとなく頭がぼんやりして、集中力も落ちてきますよね。 でも、もし「睡眠」が、ただの休憩ではなく、脳の中をきれいに掃除する大切な時間だったとしたらどうでしょう? 実は、2012年に発見されたある仕組みによって、それが本当のことだと分かってきました。 今回はその仕組み——「グリンパティック・システム」をやさしくご紹介します。 この記事のポイント ✅ 脳には、寝ている間に老廃物を流す独自の「掃除システム」があります ✅ そのカギを握るのは、脳脊髄液(のうせきずいえき)と、 星型の細胞「アストロサイト」です ✅ 睡眠不足は、認知症の原因物質の蓄積につながる可能性があります 目次 そもそも「グリンパティック・システム」って? 寝ている間、脳の中で何が起きているの? 掃除がうまくいかないと、どうなる? どうやって守ればいいの? まとめ そもそも「グリンパティック・システム」って? あなた グリンパティック……? なんだか難しそうな名前で、読む前からくじけそうです。 Torapon 名前は難しそうですが、中身はシンプルなんです。ひとことで言うと、眠っている間に脳のゴミを水で洗い流すしくみ。それだけ分かれば十分ですよ。 聞き慣れない言葉ですが、難しく考えなくて大丈夫です。 脳の中を流れる水(脳脊髄液)が、老廃物を洗い流してくれる仕組み——そう思っていただければ十分です。 私たちの体には「リンパ系」という、老廃物や余分な水分を集めて流す仕組みがあります。 ただ、脳の中にはリンパ管がほとんど通っていません。 ではどうやって脳の中の “ゴミ” を片付けているのか——。 それを2012年に解き明かしたのが、デンマークの神経科学者ネーデルガード博士のチームでした。 彼らは脳特有の “もう一つのリンパ系” として、この仕組みをグリンパティック・システムと名付けました。 「グリア(脳の支援細胞)+リンパ」という意味の造語です。 脳の中にも、私たちが眠っている間にせっせと働く"掃除部隊"があったのです。 寝ている間、脳の中で何が起きているの? あなた 寝ているだけなのに、脳の中でそんなに色々なことが起きているんですか? Torapon そうなんです。眠っている間の脳は、休んでいるどころか 『そうじタイム』 の真っ最中。3つの主役が力を合わせて働くんですよ。順に見てみましょう。 このシステムの主役は、3人います。 1. 脳脊髄液(のうせきずいえき)——脳と背骨の中を流れる、無色透明の液体です。 2. アストロサイト——脳の中で神経細胞を支える、星のような形をした細胞です。 3. 血管の “ゆっくりした拍動”——心臓に合わせて広がったり縮んだりするポンプの動きです。 眠りに入ると、これらが連携して動き始めます。 ① 細胞の “すき間” が広がる ノンレム睡眠(深い眠り)に入ると、脳の中の興奮を高める物質(ノルアドレナリン)の量がぐっと下がります。 すると、脳の細胞が少し縮み、細胞と細胞のすき間が約60%も広がることが分かっています。 このすき間こそが、脳脊髄液の “通り道”。 広がった通り道を、液体が一気に流れやすくなるのです。 ② 脳脊髄液が流れ込む 血管の周りには、ほんのわずかな空間(血管周囲腔)があります。 脳脊髄液は、ここを通って脳の奥深くまで入り込み、老廃物を集めて再び外へと運び出します。 ...

May 15, 2026 · 1 分
やわらかな夜空のもと、星と本のイラストが穏やかに浮かぶ

眠っている間、脳は何をしているの? 〜記憶と感情の整理整頓〜

「ぐっすり眠ったはずなのに、頭がスッキリしない」 「悲しいことがあった日は、よく眠れない」 そんな経験はありませんか? 実は、私たちが眠っている間、脳の中ではとても大切な"作業"が行われています。 それは——記憶の整理と、感情の処理です。 前回はグリンパティック・システム(脳の掃除のしくみ)をお話ししました。 今回はその続きとして、「眠っている間、脳が裏側で何をしているのか」を、もう少しのぞいてみましょう。 この記事のポイント ✅ 睡眠は2つの段階に分かれていて、それぞれ違う"仕事"をしています ✅ ノンレム睡眠は記憶を脳に定着させ、レム睡眠は感情をやさしく整えてくれます ✅ 睡眠不足は、学ぶ力・気持ちのコントロール・人との関わりにも影響します 目次 睡眠は「ひとつ」じゃない ノンレム睡眠:記憶を"刻み込む"時間 レム睡眠:「一晩のセラピー」と呼ばれる理由 眠りが足りないと、心と頭はどうなる? まとめ 睡眠は「ひとつ」じゃない 「眠っている時間」と聞くと、ずっと同じ状態が続いているように感じますよね。 でも実際の睡眠は、2つの段階が約90分ごとに交互にやってくることが分かっています。 ノンレム睡眠——脳が深く休んでいるけれど、体は動かせる状態。深さによってさらに段階が分かれます。 レム睡眠——体は休んでいるけれど、脳は活発に動いている状態。夢を見るのは主にこの時間です。 ひと晩に4〜5回、この2つを行き来しながら朝を迎えます。 そして面白いことに、前半はノンレム睡眠が多く、後半(朝方)はレム睡眠が多くなります。 だから「もう少し寝かせてほしいな」と感じる朝方は、実はレム睡眠のまっただ中なのです。 ノンレム睡眠:記憶を"刻み込む"時間 日中に「あ、これは大事だな」と思ったことや、新しく覚えた人の名前、運動の動きなどは、いったん「海馬(かいば)」という脳の小さな部屋に仮置きされます。 そのままだと、しばらくして消えてしまうことも。 ところが眠っている間、特にノンレム睡眠の深い段階になると、不思議なことが起こります。 昼間に活動した神経細胞のパターンが、もう一度ゆっくり再生されるのです。 これを「海馬のリプレイ」と呼びます。 「もう一度なぞり書きをしてもらう」イメージに近いかもしれません。 リプレイによって、海馬に置かれていた記憶は、より広い"長期保管庫"である大脳皮質(だいのうひしつ)へと書き写されていきます。 2024〜2025年の研究では、このリプレイのタイミングが「睡眠紡錘波(すいみんぼうすいは)」と呼ばれる特殊な脳波と同期しているほど、翌日の記憶テストの成績が良いことも分かってきました。 子どもが昼寝のあとに新しい言葉をスラスラ使えるようになるのも、この働きのおかげとされています。 学んだことを忘れたくないとき、夜更かしして詰め込むより、早めに眠った方が結果的に身につくのは、こういう理由なのです。 レム睡眠:「一晩のセラピー」と呼ばれる理由 つらい出来事があった日、ぐっすり眠った翌朝に「不思議と少し気持ちが楽になっていた」と感じることはありませんか? これは気のせいではなく、レム睡眠の働きとされています。 睡眠研究の世界では、レム睡眠を**「一晩のセラピー(overnight therapy)」**と呼ぶことがあります。 不安をやわらげるしくみ レム睡眠のあいだ、脳の中では、ストレスを高める物質(ノルアドレナリン)の分泌がぐっと下がります。 ストレスホルモンが少ない、安全な状態で、その日にあった出来事を脳が"もう一度なぞる"のです。 すると、出来事の「内容(こんなことがあった)」は記憶として残るのに、くっついていた不快な感情だけが少しずつ薄められていく——そんなことが脳の中で起きています。 これがレム睡眠の「セラピー機能」です。 寝酒がよくない理由 ところが、アルコールはこのレム睡眠を強く抑え込みます。 夜にお酒を飲むと、寝つきは良くなったように感じても、レム睡眠が短くなり、その大切な"セラピー時間"が失われてしまいます。 「つらい日こそ飲んで寝る」が逆効果になりやすいのは、このためです。 ストレスを感じた日ほど、しっかりとした"素の眠り"が必要なのです。 眠りが足りないと、心と頭はどうなる? ここまでをまとめると、睡眠は頭の中の “編集者” と “整理係” のような役割を担っていることが分かります。 編集者(NREM)が記憶を清書し、整理係(REM)が感情をていねいに片付けてくれているわけです。 その時間が足りないと、当然いろんな影響が出てきます。 物覚えが悪くなる——昼間に覚えたことが、長期記憶に書き写されにくくなります。 イライラ・不安が強くなる——感情の整理が追いつかず、小さなことで揺れやすくなります。 判断力が落ちる——前頭前皮質(判断を担う領域)の働きが鈍くなります。 人とのつながりが浅くなる——表情を読み取る力や共感する力も弱まることが報告されています。 睡眠と脳の関係について、もう少し基本から知りたい方はこちらの記事もどうぞ。 👉 認知機能ってそもそも何?〜記憶・判断・注意のしくみ〜 ...

May 16, 2026 · 1 分
朝のやわらかな光のなかで、湯気のたつお茶のあるテーブルのイラスト

今日から始める『脳が喜ぶ眠り方』 〜睡眠の質を上げる実践のヒント〜

ここまで2回にわたって、睡眠と脳の関係を見てきました。 第1回:ぐっすり眠ると、脳が掃除される?〜眠りと脳のふしぎな関係〜 第2回: 眠っている間、脳は何をしているの?〜記憶と感情の整理整頓〜 「脳って、寝ている間にこんなに頑張ってくれているんだ」と、少しだけ眠る時間が愛おしくなった方もいらっしゃるかもしれません。 最終回の今回は、その大切な時間をもっと味方につけるための、実践のお話です。 むずかしい道具やお金は一切いりません。今夜から始められるものばかりです。 この記事のポイント ✅ 「何時間寝るか」と「いつ寝るか」が、脳の修復力を大きく左右します ✅ お酒・カフェイン・スマホは、知らずに眠りの質を下げています ✅ 血圧・血糖値の管理は、脳の “そうじ機能” を守ることにつながります 目次 まずは「7〜9時間ルール」 寝る時間・起きる時間を一定に お酒とカフェインの落とし穴 寝室の “三拍子”——涼しく・暗く・静かに 血管の健康が、脳の眠りを守る まとめ まずは「7〜9時間ルール」 研究の世界では、成人の理想的な睡眠時間はおおむね7〜9時間とされています。 この範囲を外れた場合、脳の老化の指標である「白質高信号(はくしつこうしんごう)」が増えやすいことが、4万人規模の脳画像研究で示されました。 「6時間で十分だ」と長く感じていた方も、1日30分早く布団に入ることから始めてみませんか。 特に朝方のレム睡眠は、感情を整える大切な時間です。 睡眠時間を削ると、ここがいちばん最初に失われてしまいます。 「忙しい日ほど早く寝る」——これが、本当の意味での “脳の節約術” かもしれません。 寝る時間・起きる時間を一定に 「休みの日くらいは、ゆっくり寝かせて」——わかります。 でも、毎日の就寝・起床時刻が2時間以上ずれると、体内時計が混乱して、深い眠りに入りづらくなることが分かっています。 特に起床時刻のばらつきは、体内時計の調整に大きく影響します。 休日も、平日との差は1時間以内におさえると、脳のリズムが整いやすくなります。 朝、起きたらカーテンを開けて自然光を浴びるだけでも、体内時計のスイッチが入ります。 散歩や朝ごはんもセットにできれば、なお良し。 「寝つきが悪い」とお困りの方も、まずは朝の光から見直してみてください。 夜の眠りは、朝の習慣に支えられています。 お酒とカフェインの落とし穴 「寝つきが悪いから、寝る前にちょっとだけ」—— お酒のお話、耳が痛い方もいらっしゃるかもしれません。 実はアルコールは、レム睡眠を強く抑え込みます。 たしかに寝つきは良くなったように感じますが、感情の整理を担う"一晩のセラピー"の時間が削られてしまうのです。 ストレスを感じた日ほど、寝酒は逆効果になりやすいことが知られています。 カフェインも要注意です。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク—— 午後3時以降の摂取は、その夜の眠りに影響が出る可能性があります。 カフェインは体内に半日ほど残ることもあるので、夕方以降はノンカフェインのお飲み物に切り替えてみてください。 寝酒がなぜよくないのか、もう少し詳しいお話は前回の記事でも触れています。 👉 眠っている間、脳は何をしているの?〜記憶と感情の整理整頓〜 寝室の “三拍子”——涼しく・暗く・静かに ぐっすり眠るためには、寝室の環境がかなり大事です。 ポイントは3つ。 1. やや涼しく——深い睡眠に入るとき、体は中心の温度をすこし下げる必要があります。室温は18〜22℃を目安に。 2. 暗く——わずかな光でも、深い眠りを妨げると言われています。豆電球は消すか、なるべく暗いものに。 3. 静かに——耳栓やホワイトノイズで、突発的な音をやわらげるのも有効です。 そしてもうひとつ、寝る30分前のスマホ・テレビ・パソコン。 これらの強い光と情報量は、脳を「まだ起きていてね」と勘違いさせてしまいます。 代わりに、読書・ストレッチ・温かい飲み物など、ゆったりした習慣を取り入れてみてください。 「眠る準備」を整える時間そのものが、脳のスイッチを少しずつオフにしてくれます。 血管の健康が、脳の眠りを守る 第1回でお話ししたグリンパティック・システム(脳の掃除機能)は、血管のしなやかさに支えられています。 動脈がやさしく拍動することで、脳脊髄液が押し出され、老廃物が流れていく仕組みでしたね。 ...

May 17, 2026 · 1 分
夜空と眠りのイメージ

眠っている間に、脳は「明日の準備」をしている? 〜睡眠と“未来の記憶”の意外な関係〜

「寝ている間って、脳はただ休んでいるだけなのかな?」 ふと、そんなふうに思ったことはありませんか。 じつは睡眠中の脳は、思っている以上に いそがしくはたらいている ことがわかってきました。今回は、そんな研究のひとつをご紹介します。 脳は眠っている間に、「昨日までの記憶」を整理するだけでなく、「これから経験すること」の準備まで進めている ✅ 睡眠中の脳は、過去の記憶を保存する はたらきと、未来の記憶に備える はたらきを、同時に 進めていた ✅ これから覚えることを担当する細胞が、経験するより前の睡眠中に、すでに準備されている ことがわかった ✅ つまり睡眠は「ただの休み」ではなく、脳が舞台裏でせっせと働いている時間 だった(※マウスでの研究です) 目次 睡眠と記憶の、これまでの話 見つかった「明日の準備」のしくみ いま私たちにできること おわりに 睡眠と記憶の、これまでの話 私たちが眠っている間、脳は その日に見聞きしたことを整理して、しっかりした記憶に変えている ――これは以前からよく知られていました。 詳しくは、こちらの記事もどうぞ。 👉 眠っている間、脳は何をしているの? ところが今回の研究では、脳が整理しているのは「過去」だけではなかった、という新しい一面が見えてきました。 見つかった「明日の準備」のしくみ 富山大学のチームが、自由に動きまわるマウスの脳を、特別な小さな顕微鏡でのぞいて観察しました。 すると――記憶を担当する細胞のうち、「これから経験することを覚える」役の細胞 が、その経験をする より前の睡眠中に、すでに準備されている ことがわかったのです。 しかもこの“準備係”の細胞は、前の出来事を覚えたあとの睡眠中に用意される ようで、「昨日の経験」が「明日の記憶の受け皿」づくりに影響している可能性も示されました。 脳は眠っている間に、過去をしまいながら、未来の置き場所まで整えている――そんなイメージです。 ※ この研究は2025年、科学誌『Nature Communications』に発表されたものです。マウスでの研究 であり、人でまったく同じことが起きると確認されたわけではありません。 いま私たちにできること むずかしい話になりましたが、私たちにできることは、とてもシンプルです。 ✅ 睡眠時間をけずらない(記憶の整理も準備も、眠っている間に進みます) ✅ 毎日だいたい同じ時間に寝起きする(脳のリズムが整います) ✅ 寝る前のスマホ・明るい光をひかえる ✅ 昼間に体を動かす(夜の眠りが深くなります) 「しっかり眠ること」が、昨日の自分にも、明日の自分にも役立っている。そう思うと、眠る時間がちょっと愛おしく感じられますね。 具体的な眠り方のコツは、こちらにまとめています。 👉 脳が喜ぶ眠り方 おわりに 「寝る子は育つ」と言いますが、どうやら 大人の脳にとっても、睡眠は“育ちの時間” のようです。 過去を整理し、未来に備える――そんな脳の働きを思いながら、今夜もゆっくり休んでください。それが、いちばん身近な“脳のケア”なのかもしれません。 📚 あわせて読みたい一冊 PR スタンフォード式 最高の睡眠 睡眠研究の世界的な拠点・スタンフォード大学の研究者が、「眠りの質を上げるコツ」をやさしくまとめた30万部超のベストセラー。今日からできる工夫がたくさん載っています。 Amazonで見る 楽天で見る 参考にした情報 富山大学 学術研究部医学系 生化学講座の研究/井ノ口馨 卓越教授ほか 科学誌『Nature Communications』2025年発表の論文(睡眠中の記憶の並行処理) ※ 本記事は、上記の信頼できる研究・大学発表をもとに、一般読者向けにわかりやすくまとめ直したものです。紹介した内容は研究段階のものです。睡眠や体調についてご心配がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。

June 20, 2026 · 1 分
夜の窓辺で月を眺めるおだやかなイラスト

夜中に目が覚めるのは、私だけ? 〜年代で変わる睡眠の悩みと、今夜からできる工夫〜

「夜中に何度も目が覚めてしまう」「若いころは、どこでも眠れたのに」——。 そんなふうに感じて、ため息をついたことはありませんか? じつは今年(2026年)発表された大きな調査で、日本人の眠りの「いま」 が詳しくわかってきました。そして面白いことに、睡眠の悩みの中身は、年代によって大きく変わっていく のです。 「眠れないのは自分だけ」と思っていた方にこそ、読んでいただきたい内容です。数字を見ながら、今夜からできる工夫まで、ご一緒に見ていきましょう。 ✅ 日本人の睡眠時間は平均 6.4時間。理想は 7.4時間 で、ちょうど1時間足りない 状態が続いている ✅ 睡眠の悩みは年代で変わる。若い世代は「時間が足りない」、40〜50代は「眠りが浅い」、70代は「寝つけない・夜中に目が覚める」 が中心 ✅ 年齢とともに眠りが変わるのは 自然なこと。日中の過ごし方を少し変えるだけで、眠りの質は整えやすくなる 目次 日本人の眠り、いまはどうなっている? 年代で、こんなに変わる睡眠の悩み なぜ、年をとると眠りが変わるの? 理学療法士として、現場で感じること いま、私たちにできること おわりに 日本人の眠り、いまはどうなっている? あなた 「日本人は眠れていない」ってよく聞きますけど、実際のところ、どうなんですか? Torapon 今年の春に、全国3,000人に聞いた新しい調査があるんです。数字で見ると、「1時間足りない」 という姿がはっきり見えてきますよ。 調査会社のクロス・マーケティングが2026年3月に、全国の20〜69歳・3,000人に行った「睡眠に関する調査」によると—— いまの平均睡眠時間は 6.4時間 理想の睡眠時間は 7.4時間 その差は ちょうど1時間。しかもこのギャップは、2023年からずっと変わっていない そうです さらに、眠りの「質」についてはこんな結果でした。 睡眠の状態 割合 日中、眠くなる 65% 寝ても疲れがとれない 59% 眠りが浅い 57% 半分以上の人が「昼間眠い」「疲れがとれない」と感じている——つまり、眠りに悩んでいるのは、決してあなただけではない のです。 年代で、こんなに変わる睡眠の悩み ここからが、今回いちばんお伝えしたいところです。同じ「眠れない」でも、年代によって中身がまったく違う ことが、調査からわかっています。 若い世代(10〜30代):「時間が足りない・朝がつらい」 若い世代の悩みの中心は、睡眠時間そのものの不足 です。夜ふかしなどの生活リズムの乱れが影響しやすく、「朝なかなか起きられない」「日中だるい」という声が目立ちます。 40〜50代:「眠りが浅い・疲れがとれない」 働き盛りの世代では、「眠りの浅さ」 が特に多くなります。2026年の調査では、眠りの浅さは 50代で最も多い という結果でした。 また、2025年11月に全国の18〜79歳・3,000人に行われた別の調査(クロス・マーケティング「健康に関する実態・意識調査」)では、疲れやストレスを最も強く感じているのは40〜50代 だとわかっています。全体でも、疲れを感じている人は約7割、ストレスを感じている人は約6割にのぼりました。 あなた まさに私の世代です……。あと、夫のいびきも気になっていて。 Torapon じつは調査でも、男性の50〜60代は「いびき」、女性の40〜60代は「手足の冷えやしびれ」 が睡眠時の悩みの上位なんです。年代と性別で、悩みの顔ぶれが変わるんですね。 ...

July 20, 2026 · 1 分
夫のいびきに気づいて、静かに心配している妻のイラスト

いびきは、うるさいだけではありませんでした 〜777人を10年追いかけた調査から〜

「お父さん、夜中に息が止まってるよ」 ご家族にそう言われたことはありませんか。あるいは、ご自分が言った側かもしれません。 多くの場合、この話は笑い話で終わります。「うるさくてかなわん」「疲れてるんだろう」。そう言って、それきりになる。 けれど2026年に発表された調査は、そこにひとつ、重い数字を置いていきました。65歳以上の777人を10年間追いかけた研究です。 ✅ 眠っているあいだに呼吸が止まる「睡眠時無呼吸」の方を10年追ったところ、治療を受けていなかった人たちのほうが、考える力の衰え方が速いという結果でした ✅ ただしこれは観察した研究です。「治療すれば防げる」と証明したものではありません。もともとの条件にも差がありました ✅ それでも、検査は一晩で受けられます。日本では中等症以上の方が成人男性の約4人に1人。まず調べてみる価値のある数字だと思います 眠っているあいだに脳で何が起きているかは、こちらに書いています。 👉 ぐっすり眠ると、脳が掃除される 目次 そもそも「睡眠時無呼吸」とは 777人を、10年追いかけた 「69%速い」とは、どういう意味か 正直に書いておきたい、この研究の限界 もうひとつの研究は、少し違う景色を見せた 日本では、どのくらいの方にあるのか 検査と治療は、どう進むのか 現場で見てきたこと いま、私たちにできること おわりに 参考にした情報 そもそも「睡眠時無呼吸」とは 眠っているあいだに、のどの奥がふさがって呼吸が止まってしまう状態です。正しくは「閉塞性睡眠時無呼吸」といいます。 止まるといっても、そのまま息が止まりっぱなしになるわけではありません。体が苦しくなって、いったん目を覚ましかけて、また息を吸う。 これを一晩に何十回、多い方では何百回もくり返します。 問題は2つあります。 血液の酸素が下がる……息が止まっているあいだ、体じゅうの酸素が薄くなります。脳も例外ではありません 深く眠れない……目を覚ましかけるたびに、眠りが浅いところへ引き戻されます。本人はまったく覚えていません ご本人に自覚がないのが、この病気のいちばんやっかいなところです。気づくのは、たいてい隣で寝ている方です。 あなた 毎晩ぐっすり眠っているつもりなんですが……。 Torapon そこなんです。眠っている本人には、まず分かりません。 手がかりになるのは、朝の状態です。起きたときに頭が重い、口がからからに乾いている、しっかり寝たのに昼間に眠くなる。こういうことが続くようなら、一度調べてみる価値があります。 777人を、10年追いかけた 2026年7月、アルツハイマー病協会が出している学術誌に、フロリダ大学のグループの調査が載りました。 対象は、睡眠時無呼吸のある65歳以上の777人 アメリカで高齢者の健康と老いの変化を追い続けている全国調査(NHATS)に、公的医療保険の記録を突き合わせたもの 2011年から2021年まで、毎年、考える力を測り続けた 777人は、2つに分かれます。 人数 CPAP治療を受けていた方 354人(46%) 受けていなかった方 423人(54%) CPAPというのは、鼻や口にマスクを当てて、空気を送り込み、のどがふさがらないようにする装置です。いまのところ、この病気のいちばん確実な治療法とされています。 結果はこうでした。どちらのグループも、10年のあいだに考える力は少しずつ落ちていきました。 これは年齢を重ねれば自然なことです。 違ったのは、落ちる速さでした。 「69%速い」とは、どういう意味か ここは大事なところなので、ていねいに書きます。 研究チームが使ったのは、いくつかの検査をまとめた「考える力の総合点」です。10個の単語を聞いて、すぐに思い出せるだけ言う。しばらくしてから、もう一度思い出す。今日が何月何日か答える。大統領の名前を答える。こうしたものを合わせた点数です。 1年あたりの下がり方は、こうなりました。 1年あたりの下がり方 CPAP治療を受けていた方 0.03 受けていなかった方 0.05 この0.05と0.03を比べると、約1.7倍。報道で「69%速い」と紹介されたのは、この比のことです。 あなた 0.03と0.05……。正直、大きいのか小さいのかピンときません。 Torapon そう感じられて当然だと思います。これは点数そのものではなく、ばらつきを目盛りにした数字なので、直感的には分かりにくいんです。 ですから私は、倍率のほうで受け取っています。「10年たったとき、片方はもう片方の1.7倍ほど進んでいた」。それくらいの受け取り方が、ちょうどよいと思います。 ...

September 4, 2026 · 2 分
スマホを使うおばあさんのイラスト

スマホ時代の「目年齢」と、昼間の眠気 〜14万人のデータでわかった、目と体の深い関係〜

「夕方になると、目がしょぼしょぼする」「日中、なんだか眠くてだるい」——。 そんな日が増えていませんか? じつはその不調、スマホやパソコンを見ている時間 と、深く関わっているかもしれません。今年(2026年)、14万人以上 の目のデータを解析した大きな調査から、目の疲れと「昼間の眠気」の意外なつながりが見えてきました。今回はその内容を、やさしく解説します。 ✅ 1日 8時間以上 画面を見ている人は、全体の約3割(20〜30代は4割以上) ✅ 74.8% の人が「日中、眠気がある」と回答 ✅ 見えてきたのは 「目年齢」 という考え方。目をいたわると、昼間の調子も整いやすい 目次 私たちは、こんなに画面を見ている “目年齢"って、なんだろう? 目の疲れと「昼間の眠気」は、つながっていた 理学療法士として、現場で感じること 今日からできる、目の休め方 おわりに 私たちは、こんなに画面を見ている あなた 最近、スマホを見る時間が増えた気がします。目にも良くなさそうで……。 Torapon 気になりますよね。調査でも、1日8時間以上 画面を見ている人が、全体の約3割もいたんですよ。 ロート製薬が、大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で 14万人以上(143,086件) の目の健康データを集めて解析した調査(2025年4〜10月実施)によると—— 1日8時間以上 デジタル機器を見ている人は、全体の約3割 20〜30代 では、4割以上にのぼる スマホ、パソコン、テレビ……。気づけば一日の多くを画面とともに過ごしている——。そんな時代の姿が、数字にもはっきり表れています。シニア世代でも、スマホで連絡を取ったり動画を見たりする方が、年々増えていますね。 “目年齢"って、なんだろう? この調査でユニークなのが、「目年齢(めねんれい)」 という考え方です。これは、目のコンディションから割り出した“目の若さ”のこと。実際の年齢とは別に、目がどれくらい元気かを表します。 調査では、参加した人の—— 目年齢の平均は 43.8歳 実年齢の平均は 45.5歳 でした。そして興味深いことに、40〜60代では、画面を見る時間が短い人ほど目年齢は実年齢より若く、長い人ほど目年齢が上がっていく 傾向が見られたそうです。 あなた 見る時間が長いと、目が“年をとる”みたいな感じなんですね。 Torapon そうなんです。逆に言えば、目を休ませる工夫しだいで、目年齢は若く保ちやすい ということ。ここが希望の持てるところですね。 目の疲れと「昼間の眠気」は、つながっていた 今回いちばんお伝えしたいのが、目の疲れと「昼間の眠気」の関係 です。 調査では、74.8% もの人が「日中、眠気がある」と答えました。そして、目のコンディションが良くない層ほど、昼間の眠気を感じやすく、画面を見る時間も長い という傾向が見えてきたのです。 さらにこんな結果もありました。 モニターを見ていると症状が悪化すると感じる人:6割以上 目の乾きを自覚している人:約6割 疲れ目のスコアが高いのに、自分では気づいていない人(かくれ疲れ目):疲れ目の人の約25% つまり、目の疲れは、気づかないうちにたまり、昼間のだるさや眠気にもつながっている かもしれない、ということです。「なんだか日中ぼんやりする」の裏に、目の疲れがかくれているケースもあるのですね。 理学療法士として、現場で感じること リハビリの現場でも、「夜はしっかり寝ているのに、昼間眠くてね」という声をよく聞きます。原因は人それぞれですが、お話をうかがうと 「一日中スマホを見ている」 という方も少なくありません。 ...

July 22, 2026 · 1 分