予防接種と健康を考えるイメージ

帯状疱疹のワクチンで、認知症が減る? 〜50万人の調査が示したこと〜

「帯状疱疹のワクチン、打ったほうがいいのかしら」 「役所から案内が届いたけれど、どうしよう」 そんなふうに迷っておられる方が、まわりにいらっしゃるかもしれません。 いま、この帯状疱疹のワクチンについて、「打った人は、認知症になる人が少なかった」という研究が、世界のあちこちから報告されています。 ただ、はじめにお伝えしておきたいことがあります。この記事は、ワクチンを勧めるためのものではありません。どんな研究が出ているのかを正確にお伝えして、かかりつけの先生と相談するときの材料にしていただくためのものです。 ✅ アメリカで66歳以上 約51万人を4年間追いかけた調査で、ワクチンを打った人の認知症の割合は 18.8%、打っていない人は 24.6% でした ✅ イギリス・ウェールズの28万人の調査でも、同じ方向の結果(認知症の診断が約20%少ない)が報告されています ✅ ただし、いずれも「打ったから減った」と証明したものではありません。打つかどうかは、持病やお薬とあわせて、かかりつけの医師とご相談ください 目次 帯状疱疹って、どんな病気? 51万人の調査でわかったこと もうひとつの手がかり「自然の実験」 なぜ、ウイルスと認知症がつながるの? ここは、慎重に見てください 日本では、いまどうなっている? 現場で感じていること いま私たちにできること おわりに 帯状疱疹って、どんな病気? 子どものころにかかった水ぼうそう。あのウイルスは、治ったあとも体からいなくなるわけではありません。神経のそばに、じっと隠れて眠っています。 そして、年齢を重ねたり、疲れや病気で体の守る力(免疫)が弱まったりすると、眠っていたウイルスが目を覚まします。神経に沿って皮膚に出てくるのが、帯状疱疹です。 体の左右どちらかに、帯のように痛みと発疹が出るのが特徴で、ピリピリ、ズキズキとした強い痛みをともないます。 あなた 発疹が治れば、それで終わりなのでしょうか。 Torapon それが、そうとも限らないんです。発疹が治ったあとも痛みだけが長く残ることがあって、これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。数か月から、ときには年単位で続く方もいらっしゃいます。帯状疱疹がやっかいなのは、この痛みの後遺症なんですね。 51万人の調査でわかったこと ここからが本題です。近年、この帯状疱疹のワクチンと、認知症との関係を調べた研究が、次々と発表されています。 2026年6月、アメリカのブラウン大学の研究チームが、医学誌『Annals of Internal Medicine』に大きな調査結果を発表しました。 対象は、アメリカの医療施設にいた 66歳以上の50万9926人 4年間、認知症になるかどうかを追いかけた 使われたのは、いま日本でも使える組換えワクチン(シングリックス) その結果が、こちらです。 打っていない人の 24.6% に対して、打った人は 18.8%。差は5.8ポイント、割合にすると約24%低いという結果でした。研究チームは「およそ17人に1人の認知症を防げる可能性がある」と述べています。 もうひとつの手がかり「自然の実験」 「たまたまそうなっただけでは?」と思われるかもしれません。実は、それを確かめるのにとてもよくできた研究が、2025年に科学誌『Nature』に発表されています。 舞台はイギリスのウェールズ。ここでは以前、「1933年9月2日以降に生まれた人はワクチンを打てるが、それより前に生まれた人は一生打てない」という、誕生日で区切る制度がありました。 あなた たった数日の差で、打てる人と打てない人に分かれてしまったのですね。 Torapon そうなんです。そして研究者たちは、そこに目をつけました。生まれた日が1週間違うだけの人たちは、体質も暮らしぶりも、ほとんど同じはず。それなのに、ワクチンを打てたかどうかだけが違う。これなら「くじ引きで分けた実験」に近い形で比べられる、というわけです。 28万2541人を7年間追いかけた結果、ワクチンを打てた側では、認知症と診断された人が3.5ポイント少なく、割合にすると約20%低いという結果でした。とくに女性で、この傾向がはっきりしていました。 こちらは古いタイプの生ワクチンを使った研究です。種類の違うワクチンで、別々の国で、同じ方向の結果が出た——ここが、研究者たちが注目している理由です。 なぜ、ウイルスと認知症がつながるの? しくみは、まだはっきりとはわかっていません。ただ、いくつかの考え方があります。 ウイルスが神経を傷つける……目を覚ましたウイルスは神経に炎症を起こします。それが脳にも影響するのではないか、という考え方です 血管が傷む……帯状疱疹のあと、脳卒中や心筋梗塞が増えるという報告があります。血管の傷みは、認知症とも関わりの深いものです ワクチンが免疫全体を整える……ウイルスを抑えるだけでなく、体の守るしくみそのものによい影響があるのではないか、という見方もあります 血管の状態が脳を守るという話は、こちらの記事でもお話ししています。 👉 認知症を防ぐ「血管と代謝」の整え方 ここは、慎重に見てください 大事なところなので、はっきり書いておきます。これらの研究は、「ワクチンを打てば認知症を防げる」と証明したものではありません。 打つ人と打たない人は、もともと違う……ワクチンを打つ方は、健康に気を配っている方が多い傾向があります。研究チームはその影響を計算で取り除こうとしていますが、完全には取り除けません 研究チーム自身が慎重……ブラウン大学のチームも「ワクチンが理由だと確実には言えない」と明言し、今後さらに検証が必要だとしています 認知症を防ぐための薬ではありません……帯状疱疹ワクチンは、あくまで帯状疱疹を防ぐためのものです あなた では、この研究はあまり意味がないということでしょうか。 ...

August 1, 2026 · 1 分
笑顔でウォーキングを楽しむシニアのイラスト

認知症リスクを45%下げる運動習慣 〜60代から始める「脳の貯金」〜

「最近、人の名前がすぐに出てこない」「物のしまった場所をよく忘れる」―― そんな小さな不安を、ふと感じることはありませんか? 認知症は、ある日突然なるものではなく、何十年もかけて静かに進む病気だといわれています。 だからこそ、「いま、何ができるか」がとても大切です。 最近、世界的に権威のある医学誌『ランセット』の専門委員会が、こんな報告を発表しました。 「認知症のリスク要因の約45%は、生活習慣で管理・遅らせることが可能」 その中でも、今回お伝えしたいのが 「運動」 です。 私も理学療法士として30年、たくさんの方の体と向き合ってきましたが、「運動が脳に効く」という事実は、年を追うごとに 科学的にもはっきり してきています。 ✅ 定期的に運動している人は、認知症リスクが 約31%低い(早歩きを週3回以上で 50%低下 との報告も) ✅ 効くのは 有酸素運動+筋トレ+コグニサイズ(運動と脳トレの組合せ) の合わせ技 ✅ 「もう遅い」はありません。60代・70代から始めても1年で変わります 目次 なぜ運動が脳にいいの? 認知症予防に効く「4つの運動」 どのくらいやればいい? 頻度・強度・期間の目安 60〜70代の方へ 無理なく続けるコツ 理学療法士として、現場で感じていること いま、私たちにできること おわりに なぜ運動が脳にいいの? あなた 運動が体にいいのは分かるんですけど……『脳にいい』って、どうもピンとこなくて。 Torapon そうですよね。実はここ数年で、運動が脳そのものに効く しくみが少しずつ分かってきたんです。3つのポイントに分けて、やさしく見ていきましょう。 「運動が体にいい」のはイメージしやすいと思います。 でも、運動が “脳” にも直接効く ということは、案外知られていません。 ここ数年の研究で、こんなしくみが分かってきました。 ① 筋肉から「脳の肥料」が出る スクワットなど筋肉を使う運動をすると、筋肉から イリシン という物質が出て、脳の中で BDNF(脳由来神経栄養因子) を増やすことが分かっています。 BDNF は別名 「脳の肥料」。新しい神経のつながりを作ったり、傷んだ神経を修復したりする、とても大切なはたらきをします。 ② 脳の血のめぐりが良くなる 運動で全身の血流が良くなると、脳にも新鮮な酸素と栄養が届きます。 特に 運動と頭の体操を組み合わせる と、記憶を司る脳の領域(海馬)が 萎縮しにくくなる ことが報告されています。 ③ リスクそのものが下がる 統計的にも、運動習慣のある人は、ない人に比べて 認知症リスクが約31%低い というデータがあります。さらに、早歩きなどの 少し息が上がる運動を週3回以上 行っている方は、リスクが50%も下がる との報告もあります。 ...

May 8, 2026 · 2 分
笑顔でウォーキングを楽しむシニアのイラスト

運動すると、筋肉が「脳を守る薬」を出している? 〜注目の物質『イリシン』のはなし〜

「運動は体にいい」――これは、みなさんよくご存じだと思います。 では、「運動は “脳” にもいい」 のはなぜか、考えてみたことはありますか? 「歩くのは足の運動なのに、どうして頭にまで効くんだろう?」 実は、その “橋渡し” をしている物質が、近年とても注目されています。 その名前が イリシン。運動をすると、筋肉そのものから分泌され、血液に乗って脳まで届く といわれる物質です。 理学療法士として30年、私はたくさんの方の体と向き合ってきました。「運動が脳に効く」という実感は前からありましたが、その “理由” が少しずつ科学で説明できるようになってきたのは、とても心強いことです。 ✅ 運動すると、筋肉から イリシン(運動でつくられるホルモンのような物質)が出ると考えられている ✅ イリシンは脳に届き、「脳を育てる物質(BDNF)」 を増やして、記憶の中心 「海馬」 を助けるとみられる ✅ 2026年には、人間でも「運動→イリシン→海馬」のつながり を示す研究が報告された(ただし、まだ研究の途上です) 目次 そもそも「イリシン」って何? なぜ筋肉の物質が、脳にまで効くの? 2026年の新しい研究が示したこと どんな運動でイリシンは出るの? 理学療法士として、現場で感じていること いま、私たちにできること おわりに そもそも「イリシン」って何? イリシン(irisin)は、運動をしたときに筋肉から出てくる物質 です。 こうした「筋肉から分泌される物質」は マイオカイン(=筋肉がつくるメッセージ物質)と呼ばれ、イリシンはその代表選手のひとつです。 最初に報告されたのは2012年のこと。「筋肉は、ただ体を動かすための器官ではなく、体じゅうに指令を送る “臓器” でもある」――そんな見方を広げるきっかけになりました。 おもしろいのは、このイリシンが 血液に乗って全身をめぐり、脳にまで届く と考えられている点です。 「足腰を動かしているだけ」のつもりが、実は 体の中で “脳あての手紙” を出しているのかもしれない、というわけです。 なぜ筋肉の物質が、脳にまで効くの? カギになるのが、BDNF(ビーディーエヌエフ=脳由来神経栄養因子)という物質です。 むずかしい名前ですが、ひとことで言えば 「脳の神経細胞を育てて、元気に保つための栄養」 のようなものです。 イリシンは脳に届くと、この BDNFを増やす はたらきがあるとみられています。BDNFが増えると、記憶をつかさどる 海馬(かいば)という場所で、神経細胞のつながりが保たれたり、新しく生まれたりするのを助けると考えられています。 流れをまとめると、こうなります。 運動する → 筋肉からイリシンが出る → 血液に乗って脳へ → BDNFが増える → 記憶の中心「海馬」が元気に ...

June 21, 2026 · 1 分
公園で楽しく歩くシニアのイラスト

1日5,000〜7,500歩で、アルツハイマー病の進行が遅くなる? 〜歩数の『スイートスポット』が見えてきた〜

「健康のためには 1日1万歩 歩きましょう」―― そう聞いて、「正直、それはちょっとしんどい」と感じたことはありませんか? 実は最近、世界的に有名な医学誌に、少し希望のもてる研究 が発表されました。 「1日5,000〜7,500歩でも、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性がある」 しかも、すでに脳に “アルツハイマー病の早期サイン” が現れている人 にも、その効果が見られたというのです。 私自身、母がアルツハイマー型認知症で施設に入所しているので、こうした研究には自然と目がとまります。今回は、その内容をできるだけわかりやすくお伝えします。 ✅ 1日 5,000〜7,500歩 歩いている人は、ほとんど歩かない人と比べて思考力の低下が 約半分 だった ✅ すでにアミロイドβ(脳のゴミ)がたまっている人にも、運動の効果が認められた 目次 どんな研究だったの? 5,000〜7,500歩が「スイートスポット」 アミロイドβがあっても、運動は意味がある 「タウ」って何? 脳のゴミとの関係 理学療法士として、現場で感じていること いま、私たちにできること おわりに どんな研究だったの? あなた 歩数と脳の話って、なんとなくの話じゃなくて、ちゃんとした研究なんですか? Torapon はい、とてもしっかりした研究なんです。約300人の高齢者を、最大14年間 も追いかけた大規模なもの。順番に中身を見ていきましょう。 今回ご紹介する研究は、米国マサチューセッツ総合病院(Mass General Brigham)の Wendy Yau 氏らのグループが、「Nature Medicine」 という非常に権威ある医学誌に発表したものです(2025年11月3日掲載)。 大きな特徴 対象:認知機能が 正常な高齢者 296人 期間:最大 14年間 の追跡調査 測定:歩数計で測った 1日の歩数 と、脳の検査 場所:ハーバード大学の「加齢脳研究(HABS)」のデータを使用 「歩数」と「脳の変化」の関係を、ここまで長くきちんと追いかけた研究は、世界的にも珍しいものです。 5,000〜7,500歩が「スイートスポット」 あなた やっぱり、たくさん歩けば歩くほどいい……ってことですよね? Torapon それが、うれしい意外な結果だったんです。1日7,500歩あたりで効果は頭打ち。つまり1万歩を無理にめざさなくても大丈夫、ということなんですよ。 研究では、参加者を 1日の歩数によって4つのグループ に分けて比べました。 グループ 1日の歩数 非活動的 3,000歩以下 低活動量 3,001〜5,000歩 中活動量 5,001〜7,500歩 高活動量 7,501歩以上 その結果、注目すべきことがわかりました。 ...

May 8, 2026 · 2 分
頭の体操をするシニアのイラスト

脳の「処理スピード」を鍛えると、20年後の認知症リスクが下がる? 〜数週間の脳トレが教えてくれたこと〜

「脳トレって、本当に意味があるの?」―― そう感じたことは、ありませんか? ドリルやパズルをやってはみるものの、「これで本当に認知症が防げるのかな…」と、半信半疑の方も多いと思います。 ところが最近、その問いに 20年がかりで答えを出した研究 が話題になりました。 「ある脳トレを数週間受けただけで、認知症になるリスクが下がり、その効果が最長20年続いた可能性がある」 今回は、その内容をできるだけやさしくお伝えします。 ✅ 「情報を素早く処理する力」を鍛える脳トレを受けた人は、10年後の認知症リスクが約29%低かった ✅ その効果は 最長20年 続いた可能性。途中で「追加レッスン」を受けた人ほど、効果が大きかった ✅ 特別な道具はいりません。大事なのは「素早く見て・気づく」練習を 続けること 目次 どんな脳トレだったの? 2,800人を20年追いかけた研究 カギは「追加レッスン」 おうちでできること おわりに どんな脳トレだったの? 今回の主役は、「情報処理スピードのトレーニング」(処理速度=見たものを素早く理解し、判断する力)と呼ばれる脳トレです。 やることはシンプルで、画面にパッと出てくる絵や記号を 素早く見つけて答える というもの。慣れてくると、表示時間がどんどん短くなり、まわりにじゃまな情報があっても、目的のものを素早く見分けられるようになっていきます。 車の運転で「歩行者や標識にパッと気づく」あの感覚に近い力、とイメージするとわかりやすいかもしれません。 2,800人を20年追いかけた研究 この研究は、アメリカで行われた 「ACTIVE研究」 という、とても大きな調査がもとになっています。 対象:65歳以上の 健康な高齢者 2,802人 開始:1998年ごろ から、20年以上の追跡 体制:アメリカ国立衛生研究所(NIH)が支援 参加者を、いくつかの脳トレを受けるグループと、何もしないグループに分けて比べたところ―― 情報処理スピードの脳トレを受けた人は、10年後に認知症と診断されるリスクが約29%低かった そして2026年2月、医学誌『Alzheimer’s & Dementia』に発表された最新の解析では、その効果が 最長20年 にわたってみられた可能性が報告されました。 カギは「追加レッスン」 ひとつ大事なポイントがあります。それは、一度きりで終わらせないこと。 最初の5〜6週間のトレーニングのあと、1〜3年後に 「追加レッスン」(ブースター) を受けた人ほど、認知症リスクがより下がっていました。レッスンを1回受けるごとに、リスクがさらに少しずつ下がっていく傾向もみられたそうです。 運動と同じで、脳トレも 「ときどき思い出して、また続ける」 ことが効いてくる、というわけですね。 おうちでできること 研究で使われたのは専用のパソコンプログラムですが、その「素早く見て・気づく」エッセンスは、毎日の暮らしの中にも取り入れられます。 ✅ トランプの神経衰弱や間違い探し で、「素早く見つける」練習を ✅ 会話・カラオケ・囲碁将棋 など、人と関わりながら頭を使う遊びを ✅ そして何より、ウォーキングなど体を動かす習慣 を。体を動かすことは、最強の「脳トレ」でもあります ✅ 大切なのは「完璧」より 「ときどきでも、続けること」 ...

May 31, 2026 · 1 分
運動で体と脳を元気にするイメージ

「にぎる力」が、脳を守る? 〜筋肉と脳の、新しい関係のお話〜

「このごろ、ペットボトルのフタが開けにくくなった」 「握手した手に、昔ほど力が入らない気がする」 そんなふうに、手の力(握力)の衰えを感じたことはありませんか? 「年のせいだから、しかたない」と思ってしまいがちですが、実はいま、この“にぎる力”と、脳の元気との関係に、世界中の研究者が注目しています。 理学療法士として現場に立っていると、「体の力」と「頭の元気」は、思っている以上に深くつながっていると感じます。今回は、筋肉と脳の、新しい関係について、やさしくお話しします。 ✅ 握力は「体全体の筋力の鏡」。大規模な研究で、握力が強い人ほど、将来アルツハイマー病になりにくい傾向が報告されています ✅ アメリカの有名な研究所が、**2026年を「脳の健康の年」**と位置づけました。運動が、脳を元気にする物質 「BDNF」 を増やすことがわかっています ✅ カギは、中年期からの筋力づくり。歩くなどの有酸素運動だけでなく、「筋トレ(筋力を保つこと)」も脳を守る、という新しい視点が広がっています 目次 そもそも、握力と脳って関係あるの? 世界が注目「2026年は、脳の健康の年」 握力は「体全体の筋力の鏡」 なぜ、筋肉が脳を守るの? 現場で感じていること いま私たちにできること おわりに そもそも、握力と脳って関係あるの? あなた 手の力と、脳の元気……。まったく別のもののように思えるのですが。 Torapon そう感じますよね。でも、握力は「体ぜんたいの筋力」をうつす鏡のようなもの。手の力が保てている方は、体全体の筋肉も元気なことが多いんです。そして、その体の元気が、脳の元気ともつながっている——そんなことが、少しずつわかってきたんですよ。 握力とは、文字どおり「手でにぎる力」のことです。健康診断で測ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。 この握力、じつは 「体全体の筋力の目安」 として、医療の現場でよく使われています。手の力だけを特別にはかっているのではなく、握力が保てている人は、全身の筋肉も元気なことが多いからです。 そして近年、この握力と、脳の健康・認知症のリスクとの関係を調べる研究が、世界中で相次いで報告されるようになりました。順番に見ていきましょう。 世界が注目「2026年は、脳の健康の年」 アメリカに、ソーク研究所(Salk Institute) という、脳科学で世界的に知られる研究所があります。この研究所が、2026年を「脳の健康の年(Year of Brain Health)」 と位置づけ、脳を守るしくみの解明に力を入れると発表しました。 その中で、大きなテーマの一つとされているのが 「運動」 です。 運動をすると、脳の中で 「BDNF(ビーディーエヌエフ)」 という物質が増えることがわかっています。これは 「脳を元気にする栄養」 のようなもので、神経細胞が生き延びるのを助け、学びや記憶を後押しし、新しい神経細胞が育つのを支えるはたらきがあると考えられています。 あなた 運動が、脳の栄養を増やしてくれるんですね。ちょっと意外です。 Torapon そうなんです。しかも研究所は、「有酸素運動」だけでなく「筋力(筋トレ)」も、脳を守るのではないかと考えて、くわしく調べはじめています。歩くことに加えて、筋肉を保つことも大事、というわけですね。 これまで「運動といえば、ウォーキングなどの有酸素運動」というイメージが強かったかもしれません。でもいま注目されているのは、筋力そのもの。筋肉が強い人ほど、脳が守られやすいのではないかという、新しい視点です。 運動でつくられる“脳の若返り物質”の話は、こちらの記事もあわせてどうぞ。 👉 運動でつくられる“脳の若返り物質”の話 握力は「体全体の筋力の鏡」 「筋力が脳を守る」という話を、より具体的に示したのが、握力を使った大規模な研究です。 ある研究では、約8万6千人という、とても多くの人を長い期間にわたって追いかけました。その結果、握力が強い人ほど、将来アルツハイマー病になるリスクが低い、という関係が、段階的にみられたと報告されています。握力が強いほどリスクが下がっていく——そんなゆるやかな傾向です。 また、2025年に発表された別の大規模な追跡研究でも、筋力が弱い人は、将来認知症になるリスクがやや高いという結果が示されました。握力や全身の筋力の低下が、将来の脳の健康を映すサインの一つになりうる、というわけです。 あなた 握力が弱いと、もう手おくれ……ということでしょうか。 Torapon いいえ、そうではありません。これらはあくまで「傾向」であって、握力が弱いから必ずそうなる、という話ではないんです。むしろ大切なのは、筋力は、いくつからでも育てられるということ。とくに 40〜60代の中年期から筋力を保つことが、将来の脳を守る土台になると考えられているんですよ。 ここで大事なのは、「握力の数字におびえること」ではありません。握力は、あくまで体の状態を知る手がかりの一つです。数字そのものより、**「これから、体の筋力をどう保っていくか」**のほうが、ずっと大切です。 なぜ、筋肉が脳を守るの? では、どうして筋肉が、脳を守ってくれるのでしょうか。そのしくみは、まだ研究の途中で、すべてが解明されたわけではありません。ただ、いくつかの道すじが考えられています。 運動が「脳の栄養(BDNF)」を増やす……体を動かすことで、神経を元気に保つ物質が増えると考えられています 筋肉そのものが、脳によい物質を出す……近年、筋肉は「動くための器官」であるだけでなく、体じゅうに“よい信号”を送り出す器官でもあることがわかってきました 血のめぐりがよくなる……運動や筋力の維持は、脳へ届く血の流れを助けます 生活習慣が整う……体を動かす習慣は、睡眠・血圧・血糖など、脳に関わる多くのことを、よい方向へ導きます ソーク研究所も、「筋肉を育てるしくみ」が、年をとった脳を守る手がかりになるのではないか、と考えて研究を進めています。つまり、筋肉を保つことは、脳への“うれしい贈りもの”を増やすことでもあるのです。 ...

July 3, 2026 · 1 分
ゴルフ場で仲間と一緒に体をほぐすシニアたちの水彩画

ゴルフを続けている人は、頭も元気? 〜4,575人の研究が教えてくれた「続けること」の意味〜

「そろそろ、ゴルフもやめどきかな」 「腰も痛いし、スコアも昔のようにはいかないし……」 そんなふうに、長く続けてきた趣味を手放すことを考えたことはありませんか。 2026年、国立長寿医療研究センターの島田裕之先生たちが、高齢者4,575人を対象にした研究を発表しました。テーマは、ゴルフと頭の元気との関係です。 理学療法士として現場に立っていると、趣味を手放した方から、少しずつ元気がなくなっていく——そんな場面に何度か出会うことがありました。今回の研究は、その実感に静かに重なるものでした。 ✅ 認知機能が下がっていた人の割合は、今もゴルフをしている人14.1%/やめた人20.1%/したことがない人21.6% でした ✅ 効いていそうなのは、歩く・頭を使う・人と交わる、この3つが同時にそろうこと です ✅ ただし 回数を増やす必要はありません 。関係していたのは「たくさん回ること」ではなく「続いていること」でした 目次 4,575人を、3つのグループに分けてみたら ゴルフの、何が効いているのでしょう ここは正直に——「だからゴルフをすれば安心」とは言えません では、ほかのスポーツや活動はどうなのでしょう 共通しているのは「3つ」と「続いていること」 私自身のこと いま私たちにできること おわりに 4,575人を、3つのグループに分けてみたら この研究では、高齢の方4,575人を、こんなふうに3つに分けて比べました。 今もゴルフをしている人 昔はしていたが、やめた人 ゴルフをしたことがない人 そして4種類の検査で、認知機能が下がっているかどうかを調べました。結果が、こちらです。 今も続けている人が14.1% 。やめた人が20.1%、したことがない人が21.6%でした。統計的にみても、続けている人は「したことがない人」よりはっきり低い、と報告されています。 さらに興味深いのは、次の2点です。 ゴルフ歴が長い人ほど、認知機能が下がっていない傾向がありました いっぽうで、年間のラウンド数や練習の量とは、はっきりした関係が見られませんでした あなた ゴルフをやめてしまった人は、もうダメということでしょうか……。 Torapon いいえ、そう読むのは早いです。実はこの研究、記憶に関しては「やめた人」にも良い関連がみられた と報告しています。それに、あとでお話ししますが、この数字には 逆向きの説明 も十分にあり得るんです。「頭が心配になってきたから、ゴルフをやめた」という順番ですね。 まとめると、この研究がいちばん強く示していたのは、こういうことになります。 月に何回も回っている人が良い成績だったのではありません。回数は少なくても、ゴルフをやめずに長く続けてきた人——そちらのほうに、良い結果が出ていたのです。 ゴルフの、何が効いているのでしょう では、ゴルフの何が頭に関わっているのでしょうか。研究チームは、ゴルフを「体・頭・人づきあい、いくつもの要求が重なる活動」だととらえています。 ① 歩く 18ホールを回れば、カートを使っても、けっこうな距離を歩きます。歩いて回れば8〜10km、1万歩を超えることも珍しくありません。しかも平らではありません。上り下り、傾いた足場、ラフの中。ただの散歩より、体の使い方はずっと複雑です。 ② 頭を使う ここがゴルフの、いちばん面白いところかもしれません。 風の向きと強さ、グリーンまでの残り距離、足元の傾き、池やバンカーの位置、そして今日の自分の調子。それを全部あわせて、1本のクラブを選ぶ 。しかも、状況は毎回ちがいます。同じ場面は二度とありません。 あなた 言われてみれば、ラウンド中はずっと何か考えていますね。 Torapon そうなんです。しかも「決めて、打って、結果を見て、次を考える」のくり返しでしょう。これは脳の中でも 段取りをつけたり、切り替えたりする働き をよく使います。ふだんの生活では、なかなかここまで使わないんですよ。 これを裏づける研究もあります。同じ島田先生たちが2018年に行った試験では、運動習慣のなかった65歳以上の106人を、24週間のゴルフ教室と健康講座のグループにくじ引きで分けました。その結果、ゴルフ教室のグループでは、単語を覚える力が6.8%、お話を覚える力が11.2% 高くなったと報告されています。 こちらは「くじ引きで分けて比べた試験」なので、ゴルフの側に原因があると言いやすい研究です。 ③ 人と交わる そしてもう一つ。ゴルフは、4時間前後を、だれかと一緒に過ごす遊びです。 ...

August 11, 2026 · 2 分
和やかに食卓を囲むシニア夫婦のイラスト

認知症予防は「食卓」から 〜MCIからの回復にも効く食事の整え方〜

「最近、何を食べたか思い出せない」「同じおかずばかりになっている気がする」―― 食卓を見ながら、ふとそんな小さな不安を感じることはありませんか? 実は、毎日の食事が、何十年もかけて少しずつ脳の健康をつくっていることが、近年の研究でだんだんはっきりしてきました。 そして、もし軽い物忘れ=**MCI(軽度認知障害)**の段階であれば、適切な対策で 健常な状態へ戻る可能性がある ことも分かっています。 ✅ 「これさえ食べれば治る」魔法の食品はありません。基本は 多様な食品をバランスよく ✅ 主食・主菜・副菜を、1日2食以上そろえることが質のよい食事の目安 ✅ 年代で食事のギアチェンジを:中年期はメタボ対策、高齢期はフレイル(虚弱)対策 今日は、認知症予防やMCIからの回復を支える「食事の整え方」を、できるだけやさしくまとめてみます。 目次 そもそも「食事と認知症」って関係あるの? 基本のキ:主食・主菜・副菜をそろえる 年代でギアチェンジ:中年期と高齢期で気をつけることは違う 減塩・血糖・お酒の付き合い方 「共食」と五感の刺激 〜心と脳を元気に〜 私自身が実践していること(体験談) いま、私たちにできること おわりに そもそも「食事と認知症」って関係あるの? 「食事で本当に脳が変わるの?」と思われるかもしれません。 これについて、近年こんなことが分かってきました。 いろいろな種類の食品を食べている人ほど、認知機能の低下が抑えられている 野菜・果物・魚を豊富に含む食事(地中海食や、それを応用した MIND食 と呼ばれるもの)は、抗酸化・抗炎症のはたらきによって認知症予防に役立つと考えられている 高血圧・糖尿病・高LDLコレステロールなど 血管の病気 は、認知症のリスクを高めることが分かっている。だから「血管の健康を保つ食事」が、そのまま「脳を守る食事」になる つまり食事は、ある日突然脳に効く特効薬ではなく、毎日少しずつ、脳に栄養を貯金していくようなものなのです。 基本のキ:主食・主菜・副菜をそろえる 「何を食べたらいいの?」と聞かれたら、私はまず 3つの皿をそろえること をおすすめしています。 主食(しゅしょく) ごはん、パン、麺類など エネルギー源 になります 主菜(しゅさい) 魚、肉、卵、大豆製品(豆腐・納豆など) 筋肉や脳の材料となるたんぱく質 が豊富 副菜(ふくさい) 野菜、きのこ、海藻、サラダ、煮物 ビタミン・ミネラル・食物繊維 で、脳の酸化ストレスを和らげます そこに、果物・ナッツ・乳製品を少しプラスできれば、栄養バランスはほぼ整います。 1日2食以上、主食・主菜・副菜がそろっているか―― これを意識するだけで栄養バランスは完璧です。 朝・昼・夜の小さな工夫 朝食:手間をかけずに ゆで卵 や 納豆 で主菜を確保。ヨーグルト で乳製品もプラス 昼食・夕食:魚(鯖・イワシ・サンマなど) を週に2〜3回。緑黄色野菜 を2種類以上 おやつ:菓子パンやスナックの代わりに ナッツ・果物・チーズ を選ぶ 「全部きちんと」と思うと続きません。1日1回からでOK。私もそうしています。 年代でギアチェンジ:中年期と高齢期で気をつけることは違う ...

May 9, 2026 · 2 分
地中海食と日本食が並ぶ食卓のイラスト

地中海食と日本食、合わせるとどうなる? 〜認知症予防の食卓に並べたい3つの食材習慣〜

「毎日同じおかずばかりで、なんだか脳によくない気がする」 「地中海食がいいって聞くけれど、急にオリーブオイル中心の食卓には変えられない」―― そんなふうに、自分の食卓と"理想の食事"のあいだで迷っていることはありませんか? 実は近年、地中海食と日本食、どちらも認知症予防によいことが分かってきました。 そして国立長寿医療研究センターの研究では、日本食をよく食べている人ほど認知症になりにくく、腸内環境にも違いが出ることが明らかになっています。 「地中海風」か「和食」かで悩む必要はありません。いいとこ取りで、今日からの食卓を少しずつ整えていくのが現実的な答えです。 ✅ **「単品サプリ」より「食事全体のパターン」**が認知症予防のカギ ✅ 地中海食と日本食はどちらも理にかなっている――両方のいいとこ取りでOK ✅ 注目したい4つの食材:魚介・きのこ・大豆・コーヒー(日本食スコア研究より) 今日は、地中海食と日本食をどう"合体"させるか――そして私の食卓によく並ぶ3つのメニューを、やさしくご紹介します。 目次 そもそも「脳によい食事」って? 地中海食のここがいい 日本食スコアという発見 地中海食×日本食という選択肢 私の食卓によく並ぶ3つの一皿 いま私たちにできること おすすめの一冊 そもそも「脳によい食事」って? 国立長寿医療研究センターは、認知症予防の食事についてはっきりこう言っています。 単一の栄養素(サプリメント等)を摂取しても、認知症予防には効果がありません。 つまり、「これさえ飲めば」という魔法のサプリは無く、実際の食品から、いろいろな栄養をパターンで摂ることが大事だ、ということです。 そのうえで、これまでの研究で繰り返し名前が挙がるのが、地中海食と日本食の二つの食事パターンです。 地中海食のここがいい 地中海食とは、イタリア南部やギリシャ沿岸で昔から食べられてきた食事のことです。 特徴をひと言でまとめると―― 色とりどりの野菜・果物(赤・黄・緑) 魚介類が豊富 オリーブ油を使う 全粒の穀類と食物繊維 ポリフェノールたっぷりの赤ワインを少々 国立長寿医療研究センターも「認知症予防効果が期待できます」と紹介しており、糖尿病の予防にもよいとされています。 ただ、毎日オリーブ油でパスタを食べる暮らしには無理がある――それが日本に住む多くの人の本音だと思います。 日本食スコアという発見 ここで嬉しいニュースがあります。 国立長寿医療研究センターの 佐治直樹副センター長 たちのチームは、日本食をよく食べている人ほど認知症になりにくいことを、実際の患者さんを調べて確かめました(Nutrition誌、2021年)。 研究チームが使った「日本食スコア」は、こんな食品を組み合わせて点数化したものです。 JDI9(基本の9品目) 米・味噌・魚介類・緑黄色野菜・海藻類・漬物・緑茶・牛肉/豚肉・コーヒー JDI12(拡張版) ↑に加えて、大豆・大豆製品/果物/きのこ 点数のつけ方 それぞれの食品について、ふだんよく食べている人は「1点」/あまり食べていない人は「0点」 ただし、牛肉・豚肉は逆(伝統的な和食では魚を主役にするので、たくさん食べていると0点になります) これを9品目すべて足すと、最大9点・最小0点(拡張版なら最大12点) **点数が高いほど"日本食らしい食事"**ということになります つまり「7点」というのは、9品目のうち7つは日常的によく食べているくらいの感覚です。 結果はとても分かりやすいものでした。 認知症のない人 vs 認知症のある人:JDI9 スコア 7点 vs 5点 同じく JDI12 スコア 8点 vs 7点 特に 魚介類・きのこ・大豆・コーヒー をよく食べている人で差が大きかった これらの食品が多い人は、腸内環境がよく整っており、認知症のリスクと結びつくと言われる物質も少ない 傾向(腸内細菌が出す"体に負担をかける成分"のこと) つまり、お味噌汁・焼き魚・きのこ・豆腐・コーヒーといった、ふだんの和食の延長線上にあるものが、ちゃんと脳の健康と結びついていた、ということです。 ...

May 21, 2026 · 1 分
Torapon

野菜中心でも油断できない? 〜超加工食品と『注意力』のはなし〜

「お野菜もちゃんと食べているし、そんなに偏ってはいないはず…」 そう思っていても、菓子パンや即席麺、加工肉が毎日の食卓に並んでいませんか? 最近の研究で、こうした 超加工食品(UPF) が増えると 「注意力」が落ちやすい ことが分かってきました。今回は、難しいお話を平易にまとめてみます。 この記事のポイント ✅ 超加工食品(UPF)が10%増えるごとに、注意力スコアが下がるというデータが出た ✅ 「食事全体の質」とは別の影響なので、野菜中心の人も油断できない ✅ 大切なのは 「ゼロにする」ではなく「頻度を下げる」 そもそも「超加工食品(UPF)」って? UPFは Ultra-Processed Foods の略で、工場で何段階も加工された食品をさします。代表的なものは: 菓子パン、市販の菓子 加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン) 即席麺、冷凍ピザ 清涼飲料水、エナジードリンク スナック菓子 これらは塩・砂糖・脂質に加え、家庭ではあまり使わない添加物(乳化剤・保存料など)が含まれているのが特徴です。 研究:UPF 10%増ごとに「注意力」が落ちる オーストラリアの研究(Monash大学、Cardosoら、2026年4月発表)は、40〜70歳の成人 2,192人 の食事を分析しました。「Nova分類」という方法でUPFの割合を出し、認知機能との関連を調べたところ、 UPFが食事全体で10%増えるごとに、注意力スコアが有意に低下していた ことが分かりました。一方で 記憶のテストとの関連は見られなかった とのこと。注意力という、毎日の生活の中で「うっかり」「気が散る」につながる部分にじわっと影響していたわけです。 大事なのは「食事全体の質」と独立だったこと ここがポイントです。研究では「食事全体の質(野菜・果物の摂取量など)」を補正しても、 UPFそのものの影響が残った といいます。 つまり、 野菜をしっかり食べている方 魚や大豆もとっている方 でも、 菓子パン・加工肉・即席麺・清涼飲料を放っておくと注意力が落ちる可能性がある ということ。「いいものを足す」だけでは足りず、「困るものを少し減らす」両輪が大切なんですね。 現場で私が伝えていること 私(Torapon)は患者さんやご家族にお話しするときに、こんなふうにお伝えしています。 「ゼロにしなくて大丈夫です。それ以外にも、おいしいものはいっぱいありますし、お楽しみとして時々食べる分には良いと思いますよ」 UPFを「悪者扱い」して全部禁止してしまうと、食卓がさみしくなり、長続きしません。 頻度を下げる ことを意識するだけで、注意力の維持にぐっと近づけます。 いま私たちにできること 具体的に、無理なく続けやすい工夫を5つご紹介します。 ✅ 朝食の 菓子パンを週に1〜2回に(残りはご飯・パン+たんぱく質に) ✅ ハム・ソーセージは 週2〜3回まで、メインは魚・卵・豆製品で ✅ 即席麺は 「忙しい日のお守り」 として常備、毎日にはしない ✅ 清涼飲料水を お茶・水・無糖炭酸 に置きかえる ✅ おやつは 果物・ナッツ・ヨーグルト を選ぶ日を増やす ...

May 23, 2026 · 1 分